雨、死の抜き足

広がる白く凝った空からは

細く輝く雨が落ちる

太陽から世界を隠して

雫の音だけで染め上げる


雨に濡れる世界には

澄み渡る青も暮れる赤も無く

ゆったりと、とろりと、段々に

黒が染み渡ってゆくだけで

ぽつりぽつり、灯る明かりと

くるくる、回る時計で

ようやく私は今を知る


昼と夜と

境目は広がる雲と落ちる雨とにかき消され

そろり、そろりと

夜が忍び寄る


だから

生と死の

裂け目は広がる白と細い雫とにかき消され

そろり、そろりと

死が私へと忍び寄る


振り返ってごらん、ほらすぐそこに



 * * * * *



親友へ贈った詩、その2です。いただいたお題は「夕暮れ」でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る