この夜の向こうに

暗い夜でも

厚い雲の向こうには月が居る

地上からは見えなくとも光は降っている

だなんて

酷く安っぽい幻想ね


見えない光を

どう信じろというの


夜は温い風を呼んで

黒雲からは雨が落ちる

揺れる梢の悲鳴と

大地を叩く水音


こんなにも色と音で満ちた世界で

どうしてなお

見えない何かを求めるというの


望むなら

この夜の向こう


洗い流された後の新しい大地を

切れた雲から差し込む白い光を

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