金魚姫は踊る

紅のドレスをひらり翻し

金魚姫は踊る

白泡は宝石のごとく

彼女の軌跡を輝き彩る


伏せ目がちに瞳を流せば

周囲の雄がその身を震わせた

私に似合うお相手はどなた?

我と思う方はさあいらっしゃい?

薄く開いた唇から

色付き誘う言葉を歌って

彼女は高らかに笑った


狭い水槽の中ひらり踊るは

赤く美しく目立つ彼女

水面に残るその軌跡に

人に狙われ掬われるのを

知っていてもなお


だって幸せは今だけなんですもの

憂いた瞳は一瞬だけ伏せて


金魚姫はひらり

紅のドレスを翻す

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