野焼き

手から落とされるのは炎

木々を花々を大地を

瞬く間に紅で染め上げた

大気は熱を含み

唇の吐息すら焦がす


これでいい

呟きは熱風と共に空へ


やがて足元に炎は迫り

私の身体も紅に染まる

走る痛みも零れる涙も

全て燃え尽き 全て終わり


抱いた想い出も告げた愛も

身悶えた嫉妬も沸いた憎しみも

全てが燃え尽き 全てが終わる


焼き果てた後の大地には

残された灰を糧に

新たな想いが芽生えるだろう

新たな私が生まれるだろう


おやすみなさい

そして おはよう

最期の呟きは風に乗って

意識と共に空へ溶けた

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