メノエイデス編

いざメノエイデスへ

「『アイシクルバレット』」


「《重い一撃ヘビーブロー》」


「《貫通する矢ペネトレイトアロー》」


 3人の攻撃がトロールの心臓にきれいに当たり、トロールの巨体が仰向けに倒れる。メノエイデスに行くまでの途中の草原は雑魚モンスターがたくさん湧く事で有名だ。急いでいない事もあり、主にエレンとレイナのレベル上げのために、積極的にモンスターを倒していた。


「2人とも結構強くなったよな」


「確かに強くなった気がします。今なら2人でもD+位は倒せそうです」


「侑の援護があると分かってるだけでも戦いやすいな」


 冒険に出る前の2人の実力はギリギリD-を倒せるか倒せないかレベルだった。それが、冒険を始めて4時間弱でDランクを普通に倒せるようになるまで成長していた。


 モンスター討伐の目的はエレンとレイナのレベル上げ。なので侑は、トロールなどの2人で倒すのは難しいD+ランクモンスターはしっかり倒す目的で魔法を撃ち、Dランク以下の2人でも倒せそうなモンスターは、危険な状況にならない限り魔法を撃たないようにしていた。


「じゃあ、次D+ランクに遭ったら2人で戦ってみてくれ」


「分かりました。やってみます」


 そこからメノエイデスに行くまでの間D+ランクのキングスライムに遭った。エレンとレイナの2人で戦ったが、まだ2人で倒すことはできなかった。しかし、善戦していて、自分達のレベルアップを大きく実感することのできる戦いになった。そして、その約3時間後、ついにメノエイデスに到着した。




    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇ 

 


「はあ、疲れましたね……」


「途中休憩挟んだとは言え、戦闘込みの7時間だからな」


 移動中の戦闘は、Fランク10回、Eランク12回、Dランク3回(+-を含む)の25回。FランクやE-ランクは、戦闘とも言えないほどに一方的なものだが、それでもかなりの疲労が溜まっていた。


「ある程度戦えるようになったら移動には馬車でも使いましょうか」


「そうだな。それより、まずは飯食わねぇか」


「それ賛成です! 何食べます?」



「いろんな人にメノエイデスの美味しい食べ物聞いて決めよっか」


 これから3人はいろんな人に話を聞きまくって情報を集め、メノエイデス名物のカル、地球元の世界でいうカレーライスのようなものを食べることにした。


「ここのカル、めちゃくちゃ美味しいです~」


「思ったより美味しいな。この肉は何の肉だ?」


「多分オークかな。この辺多いし」


 このカルはメノエイデス以外でもいろんなところで食べられていて、各家庭でも食べられている。なので、土地によって中に入っている物はかなり変わってくる。


「はあ、美味しかったです。ところでメノエイデスには何日くらい滞在予定ですか?」


「ギルドでの情報次第だな。何にも無けりゃあと2日位で次の街に行くし、ダンジョンの情報とか、効率のいい依頼とかあればそっちに行くし、って感じだな」


「じゃあ今からギルドですね」


「そうだね。それじゃあもう行こっか」


 

 ギルドに着いた侑達は、早速掲示板の方へ足を運んでいた。


「結構討伐系の依頼に偏ってますね」


「この辺はモンスター多いからかな。あ、そうだ。エレン次の行く街はアーレンにしないか?」


「アーレンって言ったら小さい街ながら戦力はかなり高い少数精鋭部隊が主力の軍事国家だよな。そんなに危険って訳ではないが無いが、特に何も無かっただろ。なんかあるのか?」


 軍事国家アーレンは今エレンが言った通り少数精鋭部隊が主力の軍事国家で、過去200年間何度も他の街の軍隊に攻め込まれながらも、一度も負けたことがない程の強さを持っている。しかし、やはり小さい街なので特に特産物や軍事以外の目立った物は何もない。


「理由は2つあって、1つ目はアーレンまでの護衛依頼が15日後にあったから。アーレンに着くまでの5日間の護衛で、100Sだった」


 護衛依頼での1日あたりの平均報酬額は、約1S。この依頼の報酬額はその2倍の金額になっている。


「それってまた『赤い依頼』だったりしませんよね……」


「多分違う……と思う。平均の2倍って言ってもそこまであり得ない金額ではないし、アーレンに行くって事で普通より多めに金額設定したのかもしれないし」


 実はまだ侑には普通の依頼と『赤い依頼』の違いがはっきりと分かっておらず、効率よく稼げればいいとしか考えていなかったので、歯切れの悪い答えになっていた。


「もう1つの理由は?」


「年に一度だけやってるアーレンの戦闘指導が今度あるんだ。2人の知ってのとおりアーレンは個人個人がかなり強い。そんな街の現役の兵士が指導してくれるらしいから行ってみたいなって思って」


「それは確かに魅力的なんだが、それって誰でも受けれるのか? 誰でも受けれるならかなりの人が来そうなんだが」


「いや、流石に誰でも受けれる何てことはないよ。ある程度の実績がないと。例えば大会で優勝するとか」


「あ、そっか! 侑さんは前の街での大会で優勝してるから訓練を受けれるんですね」


 最初の街はそこまで大きくなかったので、そんな街の大会まで対象になっているのは思ってはいなかったが、対象になっていると侑が知ったときは結構驚いた。


「けど、その間は俺とレイナは何しとくんだ? 1日だけじゃないだろ」


「そこは大丈夫。チームを組んでる人は最大3人まで一緒に訓練を受ける事ができるから」


「それなら大丈夫だな。それじゃあこの依頼の受付してくるが、他に受けたい依頼はあるか?」


「それなら、トロールの討伐依頼と、オークの討伐依頼もお願いします」


 エレンは受付に依頼3つを持って行った。その後、ギルドの近くに宿をとって(1人1日3Sシルバー 70Bブロンズ)、冒険初日を終えるのだった。

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