3
今日は朝から殴られて、意識が朦朧としていた。弟は出かけているから居ない。お父さんも散々した後に出かけて行った。
つまり、誰も助けを求められる人が居ないわけで。
「あははっ、俺、このまま死ぬのかなぁ…?」
目を閉じる。
「さァ、キミを助けてあげます。たくさん後悔シテいまスね? 」
そんな声が聞こえた気がして、目を開けようとしたけど、そんな気力はもうなくて。そのまま意識を手放した。
俺が目を開けると、そこは家とは違う綺麗なホテル。目の前には犬のお面をつけた、男の子?
「ヨウコソ、Meteorヘ。ワスレモノ、しましたか?」
「え、ええ、っと?」
「わかんない、デスカ??」
「分からないよ……」
「後悔、しているコト、ありますか?」
「それは、ある、かも??」
そうして、俺はここでの生活をスタートさせた。
だんだんと、ほんとうの温かさに触れ、俺の心はほんとの幸せで、満ち溢れていた。
ある時、俺は自分の着ていた服からあるものを見つけ出した。
それは…家族7人で海に行った時の写真だった。写真の中の俺は、幸せそうに笑っている。
「あ………。」
俺は思い出した。何を後悔しているのか。
「弟のこと守るやつ居なくなる。お父さんに大好きだよ、頑張ってるって言って欲しい。」
弟を1人にしてしまった事。後悔ではないけど、言葉の愛情が欲しいこと。
「こーくん!俺、見つかったよ!!後悔していること!」
「伝えに、行きたいデスカ?」
「うん、行きたい、けど…無理かな…」
「分かりました、戻れるのは1日デス。そのまま居たいと思っタラ、心の中で、生きたいと言ってくだサイ。途中で、居たくないと、思っタラ、僕の名前を何回も呼んでくだサイ。わかりマシタカ?」
「うん、分かった。」
「僕の目ヲ、しっかり見てください。」
こーくんの目が明るい青になって、こーくんの顔に模様が浮かびあがる。
「………さぁっ!僕の手を握って!!」
こーくんの手を握る。
「我に力を与えたまえ。思いを届けるために。」
眩しい光に耐えきれず、俺は目を瞑った。
チリーンという鈴の音が聴こえ、目を開けると、俺は家に居た。
「お兄ちゃん!!」
「……なお、ごめんな。」
「どうしたの??」
「いない間、お父さんにやられてないか…?」
「え…?」
「今、何日…?」
「12日だよ?」
12日…俺が向こうに行った日だ。
帰るとここまで戻るのか…
「お兄ちゃん……?ぼーってして、どうしたの??」
「なんでもないよ。いきなりだけど…、なおは、こんなお兄ちゃんでよかった?」
「うん!お兄ちゃん大好きだよ!」
「こんな弱いお兄ちゃんでも…?」
「お兄ちゃんは弱くないよ、僕を守ってくれてるから。」
「ちょっとだけ、なおのこと1人にして、ごめん。」
「僕もつよいも………」
お父さんが帰ってきた。
「………なお、向こう行っときな、お父さん相当腹立ってる。」
「………うん。」
「いたっ、」
俺と目を合わせると何も言わず殴ってきた。あ〜、相当腹立ってんなぁ…。
吸っていたタバコの火を手に当てられる
「あああああああっ!!」
俺は無意識に心の中でこーくんの名前を叫んでいた。このままじゃ殺される、こーくん、こーくん、!!はやく、こーくん!!迎えにきて…っ!
チリーン、チリーンと心地良い鈴の音が聞こえ、俺は意識を失った。
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