5
「こまくん、はい、どーぞ。」
「ありがトウ!」
2人で、月や星空を見ながらおはぎを食べる。
「こまくんってさ…」
お面を外して1口目を食べようとしていたこまくん
はわざわざこっちを向いてくれる。
「食べたままでいいよ!こまくんはどうしてここのオーナーやってるの?あと喋るのあんまり得意じゃない…??あ、ごめん。失礼な言い方しちゃったかも…。」
「いいえ、大丈夫デス。喋りカタは、僕なりに勉強シテ…来たとき、この痕をつけたヒトが居たんデス。僕が気に入らなかったノカ、なんにも教えてくれナクテ……あとは…」
言いかけてやめる。
俺は気になったけど、聞かないことにした。
「変ですか…?」
「ううん!!変じゃないよ!」
「よかったデス、オーナーになる前ハ………僕ハもともとここに泊まるお客さんデシタ。」
「こまくん、お客さんだったんだ。」
「その時ノ、オーナーさんは、こんな痕があっても怖がらず…僕を可愛がってくれました、傷を付けたヒトに怒ってくれて、お花見をしたり、花火をしたり…。デモ……」
居なくなってしまった、と泣きそうな顔で、ポツリと呟いた。
「…………」
「最後二…僕に言いました。ここを頼んダ…って。だから、ここのオーナーに、なりました。オーナーになる、というコトは、もちろん大変デス。デモ、オーナーみたいに、ミンナを助けたかった。いなくナッテから、僕は忙しくテ、悲しむ時間もナカッタです。1番初めに、この痕で怖がられないヨウニ……お面をつけました。ちなみ二、狛という名前ハ…記憶が無くて、名前がナカッタ僕に、オーナーがつけてくれました。記憶が無くても…ナニカが引っかかってイマシタ。今はワカリましたが…。おはぎも、他の人達に怖がられて、僕がナイテいたとき、オーナーがくれたから、大好きにナリマシタ。」
言い終わったこまくんは涙を堪えて、月を見ていた。おはぎを食べながら。
「こまくん、出会ってちょっとしか経ってない俺に教えてくれてありがとう…。こまくん、泣いてもいいよ。堪えなくても、いいから…。ごめんね、こんな事言って…。」
「フユトくん、ごめんなさい、少しだけ…。」
今まで堪えて来たものが溢れ出すように、こまくんは声を上げて泣いた。俺は傍でこまくんをそっと抱き寄せる事しか出来なかった。
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