第6話
「ガセ?」
「そう」
「そんなことできるわけが」
「できるんですよ、それが」
佐々木が自信満々に説明をはじめた。
「もともと芸能スクープなんて
嘘八百でしょう。だからガセの
スクープをねつ造することなんて
実はわけのないことなんですよ」
阿保は佐々木の言うとおりだと
思った。
阿保の勤務する編集部はそんな
ことはないが、出版社の中には
平気でろくな裏づけもせずにガセ
ネタを載せているところが、
まま見受けられるのだ。
「だが」
「はい」
「どうして俺のためにスクープを
捏造したりしたんだ」
「それは」
佐々木はほくそ笑んで、そっと
うつむいた。
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