異世界に転生したらユニコーンだった件 〜俺はホモなので処女じゃなくて童貞の生き血を吸っていくぜ〜

甘井ふたば

ユニコーン

 はっはっはー。俺の名前h


「どぅgいbfばう――――!?」


 目が霞む中、三輪車から降りた幼女が俺に駆け寄ってくる。

 なんて速さで三輪車漕いでるんだよ、幼女強すぎ。

 しかも、自己紹介中に事故って死ぬとか……ギャグマンガかよ……。










其方そち、起きなされ」


 なんか声が聞こえる……。


「起きんかこのたわけ!!!」


「今起きます! すみませんでした!!!」


 俺は咄嗟に起き上がった。目の前には顔を白塗りして、殿上眉てんじょうまゆをした今川義元みたいな人が目の前にいた。


「だっ……誰だ!?」


「私は神じゃ」


 神……だとっ……!? 神ってこんな今川義元みたいな人だったのか! しかもよく見たらお歯黒までしてる!? 俺戦国時代で好きな武将ランキング上位に今川義元が入るくらい好きなんだけど、マジでぱっと見それだな!


「なんじゃそのぽかーんとした顔は。まぁ良い。貴方には別の世界に転生してもらおうかのう思うてな」


「転生……ですか?」


「そうじゃ。だが、転生してもらうのは人間ではない。」


「人間じゃない……!? スライムとかですか? それとも蜘蛛? 」


 蜘蛛は嫌だなー、俺蜘蛛嫌いだし。と思いつつもラノベで読んだことある転生先を並べてみたが、あの表情は違うっぽい。


「違う。一角獣じゃ。分かりやすく言うと。えーっと、何コーンだったか。バッカルコーンみたいな感じだった気がするんだが」


「……ユニコーンですか?」


「そうじゃ! それじゃ!」


 何故バッカルコーンを知っててユニコーンを知らないんだ……。

 

 ユニコーンって言ったら処女に懐くとかそういう生き物だっていうイメージしか無いんだが。 俺の女性嫌いは類を見ないくらい酷いぞ。というか、俺はホモなんだけど。 童貞にしか懐ける気がしないんですけど。大丈夫ですかこれ。


「なに、心配する必要はない。 マヨコーンは不意打ちを受けねばそうそう死ぬことはない。 かなり力のある生き物だからな」


「……ユニコーンですって。義元さん」


「そうじゃったそうじゃった。って誰が義元じゃ! 」


 ノリツッコミするんだこの神様……。

 

「というわけじゃ、行ってこい」


 俺の視界がブラックアウトした。











 ……水の音が聞こえる。それと、葉がカサカサと擦れる音。


 はっと目を開くと森の中に居た。近くには美しい湖があり、ものすごくマナを感じる。いや、この世界に魔法があるのかすら知らないけど。あれば良いなと欲が出てしまった。

 最初は四つ足で歩くという感覚に慣れなかったが、四つ足は四つ足で過ごしやすいなと思ってしまう。歩いたり走ったりする分には四つ足の方がいいかもしれない。ただ、両手が使えないという障害は大きい。やはり元人間だったからだろうか。


 いやー、しかしここの湖は美しいな。水はとても透き通っていて底がはっきりと見える。冷たくて水浴びには丁度良く、飲み水としても美味しい。俺が日頃飲んでた天然水の何倍も美味しい。

 この水に慣れてしまったら東京の水道水が一生飲めない体になってしまう。私が私じゃなくなってしまう。いや、普段から天然水飲んでる人だから水道水飲まないんですけどね!




 この体に早くなれようとあたりを歩き回っていたら暗くなってしまった。さて、寝るか。


 ……って、俺どういう体位で寝ればいいんだ!? 四つ足での寝方俺知らないぞ!?


 周りのユニコーンに聞こうにも俺しかいない。何故だ。何故俺一人なんだ! 仲間は!? 家族は!?


 ……転生してきた俺にそんな存在はいねぇええええええ!!!







 朝が来た。昨夜はなんとか試行錯誤した挙句、寝てる馬の動画を見たことがあるなと思いだし何とか寝ることが出来た。

 取り敢えず泉に向かおう。何か発見があるかもしれない。



 泉についた。近くから人の声が聞こえる。2人か? 両方とも男の声だ。そしてイケボである。


 俺の胸がときめいちゃうぜ!


 胸の高鳴りを抑えながら声のする方向へ向かう。驚かしてはいけない。何故なら俺は今ユニコーンになっているからだ。

 確か、ユニコーンは神聖な生き物だと本で読んだことがある。だから殺されることはないだろうけど、ビビって逃げられてしまうとこちらが困る。

 なぜかって?


 ……俺好みの男が逃げちゃったら悲しいでしょ!


 声が近くなってきた。恐る恐る葉の陰から覗いてみる。


 やっべえええええ! めっちゃタイプなんですけど! 細マッチョっていうのかしら? 細身ながら筋肉がしかっかりとしていて。

 よく見ると顔もタイプじゃない! んもう! 最高!


 興奮してしまった俺は我を忘れ、男めがけて猛ダッシュしてしまった。


「うわ、なんだ!?」

「ひぃぃ! ユニコーンだ!?」


 ユニコーンの本能だろうか。この男の生き血を吸いたいという気持ちが脳内を埋め尽くす。本来は処女の生き血なんだろうが、この際童貞の生き血で構わない。むしろウェルカムだ。


 いただきまーす!!!!


「来るなーーーー!!!!」


「がはっ……」


 体に何かが突き刺さるような感覚がし、数秒後急激な痛みに襲われる。俺は状況を理解した。俺は運命の相手に槍で突かれたのだ。痛みで意識が飛びそうな中、男達の会話がうっすらと聞こえた。


「やった! ユニコーンを倒したぞ!」


「ユニコーンは神聖な生き物だろ。殺しちゃまずいだろ」


「お前知らないのか? 処女にしか興味ないユニコーンが男を襲うという事で最近害獣指定されたんだよ」

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