第150話み吉野の 山の白雪 ふみわけて

壬生忠岑


み吉野の 山の白雪 ふみわけて 入りにし人の おとづれもせぬ

                     (巻第六冬歌327)


吉野山の深く積もった白雪を厭わず踏み分けて、山奥に入ってしまったあの人からは、全く何の音沙汰もないのです。


吉野山は雪深い場所。

そんな寒く奥まったところに、隠棲してしまった人がいる。

おそらく、相当な決意で、雪深いとか寒いとかは、厭わなかったのだと思う。

ただ、京にいる自分としては、その人がどうなっているのか、不安で仕方がない。

しかし、帰ってくる気配もなく、手紙さえも送って来ない、つまり音沙汰がないと、ますます嘆くことになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る