第147話白雪の ところもわかず ふりしけば

しがの山ごえにてよめる

紀あきみね


白雪の ところもわかず ふりしけば いはほにもさく 花とこそ見れ

                        (巻第六冬歌324)

※ところもわかず: 場所を選ばず、一面に。

※いはほ:大きな岩


白雪が、どこでもかまわず一面に降り積もってしまったので、頑固な大岩にも花が咲いたかのように見えてしまいます。


※紀あきみね:生没年不詳。「寛平御時后宮歌合」(892年頃)に、「夏山に 恋しき人や 入りにけむ 声ふりたてて 鳴く郭公」が採られていることから、9世紀後半の人と思われる。

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