第117話恋ふれども あふ夜のなきは 忘れ草

                      よみびとしらず

恋ふれども あふ夜のなきは 忘れ草 夢路にさへや 生ひしげるらむ

(巻第十五恋歌五767)


これほど恋慕っているのに、逢える夜がない理由は、夢路にまで忘れ草が生い茂っているからなのでしょうか。


現実の世界だけではなく、夢路にも忘れ草が生い茂ってしまった。

そのため、恋慕う相手が、自分のことを忘れてしまって、逢いに来る夜は皆無となってしまったと想像する。


自分が見捨てられた理由を忘れ草のせいにする。

そうでもしないと、辛くてたまらないのだろうか。

待つだけ女の苦しい思いを詠んだ歌と思う。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る