第108話ほととぎす 夢かうつつか あさつゆの
よみびとしらず
ほととぎす 夢かうつつか あさつゆの おきて別れし 暁の声
(巻第十三恋歌三641)
ほととぎすよ、夢だったのだろうか、それとも現実だったのだろうか、朝露が置く明け方に共寝の床から起きて、別れた時に聞いた鳴き声は。
共寝の後の別れ、そして男は心も身体もヨレヨレで歩く。
さっきまでのことが、夢なのか現実なのか、ホトトギスは鳴いているから、そのホトトギスに聞いて確かめるしかない。
枕草子「暁に帰らん人は」を思い出した。
あかつきに帰らむ人は、装束などいみじううるはしう、烏帽子の緒、元結、かためずともありなむとこそ覚ゆれ。いみじくしどけなく、かたくなしく、直衣・狩衣などゆがめたりとも、誰か見知りて笑ひそしりもせむ。
(意訳)
夜明け前の暗いうちに、女性のもとから変える男君は、身なりなど整える必要はありません。
烏帽子も元結も、ヨレヨレで結構。
直衣とか狩衣も、着崩しで十分、見ている人なんていませんから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます