第106話しののめの ほがらほがらに 明けゆけば

                          よみびとしらず


しののめの ほがらほがらに 明けゆけば おのがきぬぎぬ なるぞかなしき

                        (巻第十三恋歌三637)

※しののめ:東雲。明け方の空。

※ほがらほがらに:空の明るさがゆっくりと広がっていく様子。

※きぬぎぬ:男女が共寝の後、それぞれに衣を着ること。男女の朝の別れも意味する。尚、共寝の時は、お互いの着物を重ねて寝た。


空が明るくなっていくと、お互いの衣を着てお別れになるのですが、それが本当に寂しく悲しいのです。


尚、布団が使われ出したのは、身分の高い人で江戸期、庶民は明治期から。

それ以前は、一旦裸になり、着ていた衣をかけて寝ていた。

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