第103話しのぶれど 恋しき時は あしひきの

                            紀貫之


しのぶれど 恋しき時は あしひきの 山より月の いでてこそくれ

                      (巻第十三恋歌三633)


世間には知られないようにと思いを心に秘めてはいます。

しかし、それでも恋しくてたまらない時は、山から月が出るように、家から出てきてしまうのです。


恋の歌として、完璧で教科書のような名歌。

恋する気持ちは、我慢しようとしても、とても我慢できない。

どうしても溢れ出てきてしまうことを、山から月が出てくる光景に例えている。

さすが、貫之と言ったところだろうか。

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