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 僕が涙を青色のパジャマの裾で拭っていると、とんとんと病室のドアがノックされた。

「はい」と僕が返事をすると、ドアが開いて、そこから僕の担当医のお医者さんである羽根先生が僕の病室の中に入ってきた。


「おはよう、雫くん」ベット脇の椅子に座りながら羽根先生が言った。

「おはようございます、羽根先生」雫は言う。

「今朝の体調はどう? よく眠れた?」

 そんな羽根先生の問いかけに「はい。とてもよく眠れました」と雫は答える。すると羽根先生は満足そうな顔でにっこりと笑いながら頷いた。

 それから雫は羽根先生から軽い朝の診断を受けた。

「あの、一階の中庭に行ってもいいですか?」と診断のあとで雫は羽根先生にお願いをした。

 雫がこんなお願いをすることはとても珍しいことなので最初、羽根先生は少し驚いた表情をしたが、すぐに笑顔になって「もちろん。いいですよ」と雫に言った。

「でも長い時間はだめです。それから私が付き添います。それが条件です」と羽根先生は言った。

 雫は「はい。わかりました」と羽根先生に返事をした。

「雫くんは中庭にいつごろ行きたいの? 朝ごはんのあと?」と羽根先生は言った。

「できれば今、すぐに」と雫は言った。

「わかったわ」と羽根先生は言って椅子から立ち上がって、そっと片手を雫に向かって差し出した。

 その手を雫はしっかりと握って、ゆっくりとした動きでベットから出ると、床の上にあった空色のスリッパをはいて、自分の両足で地面の上に立ち上がった。

 それから二人は歩き始めて、雫の病室をあとにした。

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