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それから瞳はベットに戻り、眠りにつこうとした。そこで瞳は「猫ちゃん。一緒に寝よ」とベットの上から僕を手招きした。僕は瞳の提案を受け入れて、瞳の元まで移動した。「ふふ、猫ちゃんはあったかいね」瞳は僕をまるでぬいぐるみのように抱きしめて、真っ白な毛布をかぶって眠りについた。
瞳は眠ってしまうとぴくりとも動かなくなった。僕はそんな瞳の胸の中でとりあえず目を閉じた。そして最初から眠れないことはわかっていたので、僕はずっとその場所で瞳の『小さな心臓』の鼓動の音を聞いていることにした。
とくん、とくん、という心臓の音は、僕に安心感を与えてくれた。
途中、その音にとんとん、というノックの音が混ざり、それからさらにがらっという扉を開ける音が混ざり込んだ。僕は瞳の毛布の中にいたのでそれが誰かはわからなかったけど、きっと秋子さんか冬子さんのどちらかが、食器を下げにやってきた音だと僕は予想した。柱時計の針はきっと十二の数字を指しているのだろう。暗闇の中にいても、それがわかるくらいには、僕はこの不思議な世界に慣れ始めていた。
時間はさらに経過して、再びとんとん、というノックの音が聞こえた。がらっという音がして扉が開き、誰かが病室の中に入ってきたことが感じられた。
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