28 誰にも言えないあなたの夢が、いつか必ず叶いますように。
誰にも言えないあなたの夢が、いつか必ず叶いますように。
気がつくと、僕の意識は闇の中に一人ぼっちで放り出されてしまっていた。ここにはもう、誰もいない。本当に、誰も、ただの一人も存在しない空間だった。
闇がぐにゃぐにゃっとうねりだし、それはある一つの形をとった。それは猫の形。闇の中に一匹の黒い猫がいた。
それが今の僕だった。僕は空虚な意識となって、黒い猫になった僕自身と対面していた。
その猫は緑色の瞳から涙を流していた。僕は夢の中で、自分自身から意識を手放すことによって、そうすることでようやく今になって、……『いつも自分は泣いていたのだ』、ということを理解することができた。
それができたことが、僕は、……とても嬉しかった。
「やあ、こんにちは」
「こんにちは」
僕は言った。
「ようやく、気がついてくれたんだね」気がついた? いったいなんのことを言っているのだろう? 僕は疑問に思った。
「君は意地っ張りだね」
「意地っ張り?」
「意地っ張りだよ。ずっと、ずっと我慢してきたんだからね」その声はどこか笑みを含んでいた。僕は馬鹿にされたような気がして、その声にむっとした。
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