『小さなお話し』 その134

やましん(テンパー)

『はこ』


ごき大将


 (ねこママが作った料理を、ぐちゃぐちゃ食べながら、)



『やましんさん、人間というものは、箱で生きる生き物だな。ごき、』



やましんさん


 (なにも、やる気がない。カウンターに、うつぶせた、まま、)



『はこ、ですか。』



ごき大将


 『そう、はこだ。ごき。やましんさんのおうちだって、ごき、そうだろごき。まあ、箱を組み上げるか、箱を区切るかのちがいはあるがな、ごき。』



やましんさん



 『はあ、なるほど。』



ごき大将


 『しかも、生活の多くが、箱でなりたって

ごき。パソコンも、テレビも、ラジオも、オーディオも、自動車も、弁当箱も、コップとか、多少、アレンジはあるが、基本は箱だなごき。』



やましんさん


 『はあ、なんだか、意味深なような。で?』



ごき大将


 『いや、ま、それだけだ、ごき。ただ…………』



やましんさん


 『ただ?』



ごき大将


 『あの、よい臭いのする、『はこ』、は、できれば、置かないで欲しい、ごき。なかが、べとべとの、ごき。』



 ごき大将は、仲間の、大きな期待を担って、やましんさんとの交渉に来たのである。



やましんさん


 『最近は、財政難で、置いてないですな。食糧も、少なく、冷蔵庫は、だいたい、空っぽですが。おかしも、あまり、食べないし。』


 

ごき大将


 『それは、気の毒な。また、お煎餅を、届けさせま、ごき。』



やましんさん


 『わいろは、要らないです。静かに、してくだされば、良いです。』



ごき大将


 『なるほど、ごき。』



 それ以来、やましんさんの前には、ごきの姿が現れなくなった。



   ・・・・・・・・・・・・



ごき歩哨A


 『やましんさんが、起きた。トイレに行く模様ごき。』



ごき歩哨C


 『了解。第3区域、テッタイ、ごき。』



ごき歩哨B


 『了解。ごき、ほら、引っ込め❗はやく、そこ、見付かるごき。』



ごき食糧調達兵


 『はい、ごき、ごき………。やれやれ。』




  ・・・・・・・・・・・・  🐈


ねこママ



 『にゃんこ、新しい、ごき用通信機が、ばっちり、当たったにゃんこ。あれも、小さいけど、『はこ』、にゃんこ。爆弾も、まあ、箱だにゃん。おかしばこも、箱だにゃんこ。』


              


  ・・・・・・・・・・・・・


             おしまい






 









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『小さなお話し』 その134 やましん(テンパー) @yamashin-2

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