第71話 マネさんと弟

「紺野さんっ!?どうしてここに?」

「弟の付き添いなんです。ほら雄太、挨拶して」

「紺野雄太です。よろしくお願いします」

「う、うん。こちらこそよろしく」


紺野さんに弟がいることは聞いていたが、実際に目にすることで驚きの感情が生まれる。

四天王になるほど整った顔の紺野さんの弟だからか、俺が今までみた男子の中の最上位に位置するレベルのイケメンだったのだ。

紺野さんと同じ紺色の髪、ヘアスタイルはマッシュというやつだと思う。

決してキノコみたいではなく、韓国のアイドルのような感じに仕上がっている。

長い前髪の隙間から見える目には静かな意思が浮かんでいるかのようだ。

服は白のTシャツにジーンズという組み合わせなのだが、彼が着るとモデルのようにオシャレに見える。

レベルの違いに嫉妬すら起こらなかった。


そして紺野さんだ。

今まではサッカー部のジャージ姿と制服姿しか見たことがなかった。

しかし今日は私服であり、その破壊力に俺は戦慄していた。

白のワンピースだった。

たかがワンピース、されどワンピース。

紺野さんのような美少女が着た瞬間、そこに生まれるのは天使であり、可愛いの権化である。

実際にロビーで待つ人ほぼ全員、男女問わずの視線が紺野さんに集中している。

決して病院に来るときの服装ではないと思うのは俺だけだろうか?

これはデートのとき、彼氏を喜ばせるために精一杯おめかしする時の格好だと思うんだが?

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