第47話 ご馳走さま
とりあえず俺は作戦、寝たふりを開始する。
しかし夏帆に両頬を掴まれグイグイされる。
「痛っ!ちょ、ま、いてっ」
「さすがに寝たふりはないんじゃないかな~?」
「ご、ごめんって!痛いっ」
謝ってやっと離してくれる。
まだ頬がヒリヒリするが、これは完全に自業自得だ。
「起きたんなら声かけてよ……。恥ずかしいじゃん……」
「それは本当にごめん」
「……私が寝てる間に何かした?」
「ん?夏帆の寝顔見てただけだけど?ごめん、可愛かったからつい……な?」
「か、かわいい……。ゴホン!ま、まぁなんか言うことは?」
「ご馳走さまでした?」
「なんでやねん!」
頭をはたかれた。
痛くはないよう加減されたはたきだった。
「ごめんごめん、ほんとありがとな。」
「うん……(その顔、申し訳ないような嬉しいような顔は反則だよ……。カッコよすぎるもん……)」
夏帆は頬を染めて頷く。
なるほどな。
夏帆は多分お礼されるのに慣れてないんだな。
だからあんな恥ずかしがるわけだ。
これなら納得だな。
そう言えば今日は土曜日だが、夏帆は部活は無いのだろうか?
「なぁ、夏帆。今日部活無いのか?」
「あ!忘れてた!やばい、遅刻だ……」
そう言って速攻で準備を始める。
家の中を駆け回ることおよそ5分。
準備を終えたらしい夏帆は玄関で靴を履いている。
俺はお見送りをするため玄関に移動する。
「じゃあ気を付けてな」
「うん、行ってきます!」
「あぁ、行ってらっしゃい。……なんか新婚夫婦みたいだな」
玄関が閉じると同時に外で誰かが転んだような音が聞こえた気がした。
まぁ良いやと思い、俺はリビングに戻る。
そして机の上のとある物が目に入った。
「あいつ、弁当忘れてるやん……」
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