第36話 夜

一時間目が始まる時間が近付いて来たので教室に向かう。

やはり松葉杖は目立つのかすっごい見られてる。

こんなブ男見ても面白くないですよ~。

心の中でそんなことをぼやいてみる。


席に着くと光が俺を見て驚いている。

まぁ友達が急に松葉杖で登校してきたらこうなるわな。


「し、晋也……。その怪我は?」


「ちょっと肉離れしちゃってさ」


「そうなのか……。何か私に手伝えることがあったら遠慮なく言ってくれ。友達だからな」


「おう、頼らせてもらうよ。友達だからな」


そう言って二人で笑い合う。

少し話してみて気付いたのだが、大和撫子の具現のような光、結構ノリが良いのだ。

会話していて面白い。

そういえば光とは連絡先を交換していないことを思い出す。

(ちなみに夏帆とはとっくに交換している)


「なぁ、光。よかったら連絡先交換しないか?」


「勿論だ。でも私はあまり携帯とかは得意でなくてな。やってもらえないか?」


「あぁ、任せてくれ」


そして俺は光と連絡先を交換する。


「これで夜も話せるようになるな」


俺がそう何気なく言うと光は突然顔をうっすらと朱色に染める。

あれ?俺なんか言っちゃったか?


「ま、待っている……から……な……?」


そう首をかしげる光はすっごい可愛くて、俺が赤面してしまったのは言うまでもない。

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