第28話 大和撫子(1)

*光視点です



私は差別を受けている。

何かをしたわけでもないのに、望んでもいない四天王に担ぎ上げられ、差別対象になった。

やり方は陰湿、教師にはばれないように細心の注意をはらっている。

先生に訴えようにも彼女達は数の力で私を押し潰せる。

私は差別を甘んじて受け入れること以外出来なかった。


容姿は母に似た。

母は厳格であるが、優しく美しかった。

そんな母に憧れていたし、似ていることが誇らしかった。

けれど差別のせいで自分の容姿が嫌いになった。

そのせいで母との関係は悪化、家にも居づらくなった。


ある日、うちのクラスに一人の転校生がやってきた。

高い身長に引き締まった細くも逞しい体、テレビで見るアイドルを越えるようなイケメンだった。

目を奪われた。

決して惚れたわけではない。

けれど脳に焼き付いて離れなかった。


彼は私の隣の席になった。

早速話しかけてくる。

声もカッコよかった。

正直反則だと思う。

私は動揺を隠し、返事をすることに努めた。


6時間目、彼に教科書を見せることになった。

彼はやがて私から離れていくだろう。

男子は女子より数が少ないので、数で圧力をかけられている。

きっと彼も離れていくだろうが今はせめて話していたい。

そう思っていた。

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