異世界転生したけど幼女のヒモになった件

煙道 紫

第0話 プロローグ

人歴200年、当時アクィタニア帝国ほど、豊かな国土を擁し、物品の流通に力を入れている国はなかった。


そしてこの広大な帝国の辺境は強靭な肉体と精神を持つ誇り高き軍隊によって守られていた。


国内をみれば、当時としては非常に珍しい他国の種族に対しての平等宣言。


法や平等宣言により凡ゆる種族から数えることが出来ない程の技術が齎もたらされ、力強い繁栄の中で人々はその恵みを湯水の様に費やしていた。


政に関しても共和制の理念が重んじられ、最高権威である元老院も皇帝ガルスに行政権について全てを委ねていた。


さてこのアクィタニア帝国に1つ人々に囁かれる事があった。


それは当時、血の力が強い貴族社会において一般人が皇帝に名指しで指名されると言う異例中の異例。


しかも、その男に皇帝が頭を垂れた。という反逆とも取れる噂噺。


しかし、当時皇帝はその噂噺をする事に罪を与えなかった事で信憑性を増し、詩人に語られるまでになった男。


詩人はこう語る。



男は完璧主義な芸術家であり発想力豊かな料理人であり誠実な医師であり小鳥と語らう音楽家であり偉大な発明家であった。


城で街で村で平野で。


この国に住む者で誰一人として知らぬ者は居ない。


男の名を聞いてみるが良い。


野に聞けば野狐が返し、山に聞けば小鳥が返す。


海に聞けば波が返し、天に聞けば風が返す。


その男の名は


ヒロシ・ヌンティウス。


後に皇帝より『伝える人ヌンティウス』と名付けられた、アクィタニア帝国が認める大賢者である。

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