薄氷の向こう側

士十一

プロローグ

 僕らは昔、空から降りてきた。

 母さんから姉さんから聞いた、本当か嘘かもわからない話。

 僕はその話が好きで、夜になってから星を眺めることが多かった。星の淡い光がゆらりと波打つのを眺めていると、自然と心が落ち着いて……いや、星空に溶けてしまったみたいに心が真っ白になって、僕はその感覚が好きだった。

 昨日もそうやって、外で横になっていた。突然の轟音が、響いてくるまでは――

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