第3話 2020年3月16日 信用取引口座

今月だけで200万円程儲けているのだが、5ちゃんねるやTwitterを見ていると1,000万円単位で儲けている奴らがゴロゴロいる。

その違いは何か?

いや、初めからわかっていたことだが、俺が信用取引を避けてきた為だ。


株の信用取引自体は中学生の時から知っている。

売りから入って株の値が下がった時に買い戻す、という取引だ。

例えば1,000円の株を100株空売からうりして後日800円で買い戻せば1株あたり200円、それが100株で20,000円の利益が出せる。

株を持っていないのに売るから空売りだ。


ダブルインバースを買うことで擬似的に空売りをすることはできるのだが、資金効率が良くないということが段々とわかってきた。

ダブルインバースという商品の特性上、連日下げ続けると価格が増大するのだが、上げ下げを繰り返すと価値が下がる、減価げんかしてしまうのだ。

これを避けるには特定の株を空売りするか、日経平均先物を売るか、或いはCFDという日経平均先物に似た商品を売るしかない。


また、ダブルインバースはあくまで現物株と同じ扱いなので1,000万円しか持っていなければ1,000万円分しか取引できない。

これに対して信用取引では約3倍、1,000万円の資金があれば約3,000万円まで取引が可能だ。

俺は今こそ信用取引を始めるチャンスと腹を決め、信用口座の開設をすることにした。


「名前は『朱木あかぎ 春雄はるお』、年齢は35歳。

 投資歴は10年超、と。」

つぶやきながら証券会社の信用取引口座開設フォームを埋めていく。

信用口座の開設と合わせて、先物取引の口座とCFD取引の口座も開設する。

先物取引とCFD取引は株の特定口座とは別になってしまうが、資金効率としてはより有利らしい。

株の空売りは貸株かしかぶを利用する必要があるが、当然無料では借りれない為、金利を払う必要がある。

先物やCFDには貸株という概念がないので資金効率が良いというわけだ。


株の空売りや先物は怖いと昔からよく聞くが、今は10年、いやひょっとすると50年に一度の好機なのだ。

なにせ、世界中の調査機関がリーマンショックを超えて世界恐慌に匹敵すると言っているのだ。

売って、売って、売りまくる。

俺も売りで億トレーダーの仲間入りをするのだ。

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