第33話〜五星・炸裂〜
「ホワイト・ヒート!」
デネブが叫ぶ。目の前が白く光った次の瞬間、草木が燃え盛る炎に包まれた。熱気が辺りを焼きながら迫り来る——!
ボクは我に返り、熱気が来ないデカい岩の陰に身を隠した。
「うわぁああ! 熱い……!」
「このままだとみんな焼けちまう! マーキュリー‼︎ お前の忍術で火を消してくれ!」
「ダメダメダメダメダメダメ! 私の忍術なんかじゃ無ー理ぃーー‼︎」
「マーキュリー! 勝手に逃げないでくれー‼︎」
混乱する星光団。クソ、ボクに出来る事は何かないか……⁉︎
ボクは深呼吸して、もう一度目を
ホワイト・ヒート
火属性 威力……95 消費魔力……9
特殊効果……火傷(10%)
瞼の裏に、また文字が映る。
デネブの必殺技のステータスが、ハッキリと見えた。
どうやらボクは星光団のメンバーになった事で、目を瞑って意識を向けた相手のステータスや技の強さが分かるという、特殊能力が身についたらしい。
「もうー‼︎ やるしかない! どうせダメだけど! ……
水遁の術
水属性 威力……65 消費魔力……5
特殊効果 無し
また見えた! これはマーキュリーさんの技だな。
このチカラを使って、敵のステータスを味方に知らせれば、戦いを有利に進められるかも知れねえ。
マーキュリーさんの術が発動すると、空から滝のような大量の水が降り注ぎ、あっという間に周りの火を消してしまった。そのまま水柱は大波へと姿を変え、デネブを襲う!
「マーキュリー、やれば出来るじゃないか!」
「み、み、みみみ水柱よ、そのまま、敵を飲み込んで‼︎」
が、デネブ、リゲル、スピカは同時に地面を蹴って飛び上がり、大波をかわしてしまう。
「ホホホホホ‼︎ やはり水攻め……。作戦通りですネ! お前たちの手は読めているんですよォ……。メイルシュトローム‼︎」
リゲルが笑いながら言うと、マーキュリーさんが呼び出した水に渦巻きが現れ、少しずつ巨大化していく。
——ボクはまた目を瞑ってみた。
メイルシュトローム
水属性 威力……95 消費魔力……12
特殊効果
おい、今、不穏な文字が見えたぞ……。
——ボクは叫んだ。
「みんな、逃げろ! 飲み込まれるぞ! この渦に飲まれると、即死するかもしれねえ‼︎」
「ゴマくん‼︎ 技の効果が分かるのか!」
「いいから早く逃げろぉーー‼︎」
ボクらはすぐさま逃げようとしたが、ボクもソールさんたちもメルさんたちも、みんなあっという間に、波しぶきを上げながら溢れる水に飲み込まれてしまった。
大渦が唸りながら迫ってくる‼︎
「これで、星光団も終わりだ。やれ、スピカ!」
デネブが言うと、スピカはジャキンと音を立て、持っている機関銃を水面に向けた。
「へっへーん。ここにウチの電撃銃を撃てば、水は電気を通すさかい
クソッタレ! 終わりかよ‼︎ このままじゃ星光団もメルさんたちも、全員丸コゲにされちまう……!
「みんな、諦めるな‼︎」
「みんな、手を、手を握って! 水から脱出しましょう‼︎」
——スピカが叫ぶ。
「
「リフレクト‼︎」
閃光とともに、耳を
「うわ! 防がれてもうた!」
——痛みは無い。無事だ。
ヴィーナスさんが咄嗟に魔法を放ち、スピカの電撃を防いでくれたようだ。星光団は全員、水から脱出し、どうにか逃げ切る事が出来た。
「よし! 星光団、体勢を立て直すぞ!」
「おうっ‼︎」
ボクも何とか濁流から抜け出し、体を震わせて水を弾き、態勢を立て直した。
水も大渦も消えてしまったが、そのへんの草木や岩はみんな流されてしまい、濡れた土のフィールドだけが広がる。
……メルさんたちの姿が見えない。無事に逃げたことを祈ろう。
ボクは宙に浮かびながらこっちを睨んでいるリゲルとスピカに意識を向けて、もう一度目を瞑ってみた。
大海の星 リゲル サバトラ♂ Lv.30
魔法戦士
属性……水
体力 180/322
魔力 18/68
攻撃力 85
防御力 110
敏捷性 75
魔法力 102
耐性……火
弱点……風
必殺……
メイルシュトローム
暁光の星 スピカ 種別不明♀ Lv.30
狙撃手
属性 陽
体力 140/220
魔力 0/0
攻撃力 80
防御力 75
敏捷性 163
魔法力 0
耐性……無し
弱点……陰
必殺……
未習得
よしよし、少しずつコツを掴んできたぞ。
「ほう、しぶといな、星光団」
「むゥ。我々の魔力も残り少ないです。早く潰してしまいまショウ」
「ふん、まだまだこれからやんか! 気合い入れや、デネブ、リゲル!」
敵も態勢を立て直したようで、再び攻撃に移ろうとする。
その時、ソールさんが叫んだ。
「みんな、集まれ!」
すると星光団5匹が、地面に五角形をかたどるように移動し、それぞれ五角形の先端に陣取り始めた。一体、何をする気だ……⁉︎
地面にボウッと五芒星が、光を放ちながら浮かび上がる。
「ふん、何の真似だ?」
デネブたちは宙に浮きながら、舐めるような目でそれを見ている。
「ゴマくん! よく聞いてくれ!」
ソールさんに呼びかけられ、ボクは気が引き締まる。
「ソールさん!」
「今から星光団全員で、〝必殺技〟を放つ! しかしその後、我々全員、体力と魔力を全て失うことになる。そうしたら、我々はもう戦う事は出来ない。技が発動したら、すぐに〝ワームホール〟を壊してくれ‼︎ 頼んだ‼︎」
「は⁉︎ ちょ、待ってくれよ! 何言って……」
技を発動すると戦えなくなるだと⁉︎ おい、それはまずいんじゃねえか‼︎
返事する間もなく、ソールさんたちは〝必殺技〟を発動するための
「私たちに」
「聖なる」
「星の」
「力と加護を」
「超必殺……」
おい待ってくれ! クソ、〝ワームホール〟は何処だ……!
「——ペンタルファ・バースト‼︎」
耳を貫くような轟音と共に、白、紫、赤、青、黄色の光線が交錯、炸裂し、デネブたちを包んで行く――‼︎
攻撃の反動による衝撃でボクは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
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