終わりのその先に
神崎赤珊瑚
第1章
「全ては夢だった。
壮大な戦役も、
偉大な冒険も、
心焦がす恋も、
非業の死も、
ただのつくりもの、ぼんやりとした幻でしかなかった。
――だとしたら、どうする?」
角の生えた犬のぬいぐるみにしか見えない
今まで、長い旅をともにしてきたけれども、こんな薄気味悪い表情は初めてだった。
「君たちはよくやったよ。
とてもとてもよく頑張ったよ。
我々がこちらの
「どうしたんだスピカ。おまえ少しおかしいぞ」
「これで帰れるんだよな、スピカ。元の世界に。ぼくの家に」
「大丈夫なのか、こいつ」
「……そっかー。そーゆーことにするんスね」
パーティ最後の一人は、
この四人が、最後まで残った地球出身者だった。ここに誘導精霊スピカを加えたのが、過酷な旅を半年も続けた魔王討伐パーティだ。
「人類を滅ぼそうとした大魔王は倒れた。倒した。
さて、これからどうするか、だよねえ。
あそこに転がってる大魔王の遺骸にはいりこんで、真・大魔王みたいなクリア後ボスになって遊んであげても良いんだけれども。
僕と君たちとじゃ、戦いにならないよ。
とてもとても、強さが違い過ぎて」
「ま、ホントのとこを言えば、大協約が結ばれて以降は、君たちにあんまりひどいことも出来なくなったんだ。これからこの世界はひしゃげて滅ぶけど、君たちは、その前に元の世界に返してあげよう」
「でも、ね。
これがハッピーエンドだなんて絶対に勘違いさせないために。
これは胸糞最悪のバッドエンドだと絶対に理解させるために」
「これから、君たちに、本当のことを教えるよ。聞きたくもない真実を」
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