ありふれた自殺、などではなく
鹿島 コウヘイ
プロローグ 人を殺すということ
人を殺すことは、きっと悪いことなのだろう。
なぜ人を殺すことは悪いことなのか。
例えば、誰だって殺されたくはないのだから他人を殺すべきではないだとか。人命の価値は他のあらゆるものよりも重く、そして尊いものだからだとか。私たちの生きているこの社会を維持するためだとか。とにかく、駄目なものは駄目だからだとか。
おそらくだが、そのどれもが正しい。そんなことを真面目に考える時間も、高名な有識者のように得意げな顔で議論を戦わせる時間も無駄でしかないくらいに正しい。というよりも、正しくあるべきなのだ。
人を殺すことは悪いことだ。当然だ。わざわざこんなふうに明言するまでもない。他人の命を奪うという行為が善いことであるはずがない。
けれど、私はその悪いことをした。つまりは、人を殺したということだ。
どうして私は人を殺してしまったのか。
そうしなければ救われないと思ったから。それだけが自分を救う手段であると信じたからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます