或る精神病者の手記

@yoko-fuji

或る精神病者の手記

僕は、僕だ。僕はひとりぐらしをしている。毎日家にいる。

僕は灯台を開発したんだ。それは僕の机の上に乗っている。この灯台は、世界中とつながっていて、世界のそこらじゅうにその光を飛ばすことができる。

だから他の人には一瞬で移動したように見えるんだ。僕はこの灯台を使って、世界中を瞬間移動する。毎日世界中に出かけているんだ。

僕は神様みたいだ。アメリカで起こっている自動車事故も、僕がやっているんだ。

それなのに研究者たちはばかだ。ありえない配線をしてみたり、通常の週十倍の電磁波をかけないとあんな事故は起こらないと言っている。全部僕がやっているのに。


僕は目立つ格好をしている。人が話しかけやすいようにだ。

今は紙を肩までのおかっぱにして、左の後頭部だけ緑色に染めている。

これはサインだ。話しかけてほしい子がいるんだ。その子にはわかるはずなんだ。

僕は接近禁止命令が出ているのでその子に顔を見られてはいけない。

その子は僕のことを好きだ。僕はこっそり近づく。後ろから近づいて抱きしめるんだ。いや、あたためると言った方がいいかもしれない。

その子は14歳だ。今からものにしておけば、その子は僕以外の人と結婚するなんて言わないだろう。ヴォルデモートがハリーにしたみたいに、僕の一部をその子に移すんだ。


僕はその子と結婚する運命にある。もう式場も予約した。なんであの子から連絡がないんだろう。何かあったら、「僕に電話して」って言ったのに。

僕はあの子を大事に、大事にあたためたんだ。僕はコージーコーナーで聞いたんだ。

「コージーってどんな意味ですか」って。「ほっとする」っていう意味らしい。

あたためられて、きっとあの子はcozy(ほっとする)な気持ちになっただろう。もう一度再現したら、あの子はまたcozyになって、僕にもたれかかるだろう。

あの子は僕が後ろから抱きついた、セクハラだと主張しているがそれは間違いだ。

彼女は医者にマインドコントロールされているんだ。


僕は川越に住んでいる。僕はボルヴィックしか飲まない。肉は牛肉しか食べない。

僕は骨が好きだ。人間の中身は骸骨だ。僕は型が大好きだ。だから弓道をしている。証明も大好きだ。数学は素晴らしい。

あの子から連絡がこないと、僕は大金を払わなきゃならない。今日も催促された。

式の当日になれば、僕が正しいことが証明されるのに。


僕はもうじき生まれるんだ。11月26日は僕の誕生日だ。

おかあさんは僕を「天才だ」と言っていた。僕は他の人と全く違うんだ。

あの子はその日に僕の子供を産むんだ。お産の連絡がないか、僕は毎日待っている。

早く僕に電話をして。(誰もお前になんかしない。早く死ね。)まただ。毎日変な声に悩まされている。

(早く病院に行け)明日行く予定なのに、なんで知っていいるんだろう。


‐中略‐


11月26日

とうとうその日が来た。朝から忙しかった。

式場から督促の電話が来た。何度もかかってくるから。僕は無視し続けた。

昼過ぎに、警察が来て、僕の灯台を持って行った。

それから、病院から知らない男の人がたくさん来て、僕を連れて行った。

みんな白衣を着ていた。「ソチ」だとか言っていた。ソチはロシアの地名だ。

僕は医者と対決するため、この日記を見せることにした。

そうすれば僕が正しいことが証明されるに違いない。



精神科医のコメント:

A男は、激しい妄想が認められ、社会生活が破綻しているため、20XX年11月26日に措置入院となった。

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