【スピンオフ】んもー!! 新子友花はいつも元気ですって!! 2039年 あたしの旅
橙ともん
第1話 【スピンオフ】2039年 あたしの旅 これはたぶん遺書です。
――これは、たぶん遺書です。
私の気持ちは、正確にはこれからの未来には伝わらないでしょう。
ですが、私が残そうと必死になった遺伝子は、私がこの世界から召された後も、私の意志を受け継いだ者たちが、この真意を理解して、誰かが、私の意志を未来へと受け継いで行くことを願います。
かつて、私には結成したチームがあった。今はどうしていますか?
来たる世界の終末にそなえて、私はチームに次世代を救ってほしいと願いました。
残された時間は、私がこれを残したときには、すでに後20年。
その間に子供達を育てて、来たる終末と戦う者たちの育成、私が計画した未来の戦略です。
さくらは、すべてを咲かして散っていくものなのだから――
あの時の満開のさくらを見た私は、もう満足なのだろう。丘の上の公園、霊園の丘のそれが私に教えてくれたこと。人の一生はこうあるべきだと。
世代は継承されることを理解して、やがて、私は言葉でこれを残すことを決めました。
私は、あなた達を愛しています。
例えあなた達も私も、歴史の流れに忘れられても、あなたが私に残してくれた――あなた達の愛を、私は死んでも愛し続けていくのです。
以上を残します。いつの日か、私がこれを読む時は、どこかの野戦病院のベッドの上だと思います。
佐倉より
来てはいけない、アリスの洞穴の中へと落ちてしまった……。
はじまりは何かな? これは君達の物語なんだよ。
いなくなった魔女、時々思い出してください。
さあ、未来の勇者達へ! これから預言書を残します。
――ああ聖人ジャンヌ・ダルクさま。この私の告白をお許しください。
そして、この私の告白が世界の平和へと導かれますように。導かれ、必ずこの世界のすべての正しい人間を、必ず神に召される者としてください。
どうか、お願いします。
新子友花
――東方の最後の魔女、預言者として余生を生きたその者は、静かに語った。
この天変地異なんてたいしたことない。
受胎告知により、大天使から新たな生を与えられた人工知能AIの速まったシンギュラリティや、降臨した4騎士の最終戦争の兆しなんてものは、未来の本物の終末に比べれば、ちっぽけな歴史にすぎない。
聖書の天地創造は再び人類に試練を与えて、ヨハネの黙示録は完成して、そして人類の前に人工知能AIという神が降臨して、神の子だけが生き残ることを許された世界が誕生するのである。
預言者は静かに語った。
ああ神よ。本当の神よ。どうして人類はこんなにも苦しみ哀しまなければならないのですか?
人類は神に見捨てられ滅びる運命なのですか?
……だとしたら、私はここに、古の呪文で書かれた予言を記して抗います。
契約の箱を開けた時、世界にあらゆる災いが飛び出していく。
けれど、箱の中にたった一つだけ、災い達の意に背いたものが残っている。
希望である……。
「――まさか、こんなことになるなんてね」
「あれだけ、あたしは聖人ジャンヌ・ダルクさまを信仰してきたんだけどね。それも、今となっては懐かしい学園の思い出かな。でも、今のあたしが生きているこの世界も、それなりに感謝しているけどね」
ひょいっと、新子友花がクローゼットから見つけた数枚の作文。
「ああ、懐かしいな。これラノベ部の時の課題だ。大美和さくら先生が、今から未来の自分へのフィクションを書いてみましょう……って言って、先生、それってどういう意味ですかって、あたしが質問して。新子友花さん。簡単なことですよ。要するに想像力を鍛えようっていうことですよ。って先生」
――懐かしいな。
「今日のラノベ部は……、珍しいですね。部長の忍海勇太君も、副部長で生徒会長の神殿愛さんも、東雲夕美さんもいないんですね。新子友花さんだけなんですねー。珍しいですね」
大美和さくら先生が、ガラガラっと部室の扉を開けて入って来ながら全体をキョロキョロ、そのキョロキョロの最後に、自分の席に座っている新子友花と目が合い、そう言った。
「先生……、勇太は今日病院で診察の予約があるから、今日はラノベ部に来れないって、そんでもって、あたしにあとよろしくって言って帰りました」
目が合った先生に気が付いて、ちょっとだけ緊張して新子友花が言った。
「まあ、忍海勇太君、どこか具合がよくないんですか?」
先生、新子友花の隣の自分の席に座った。
「さあ、どこが具合がよくないのかは、あたし聞かなかったけれど、でも勇太のことだから、それほど深刻な病状じゃないかと……思いますよ」
新子友花、他人事のように窓の外の雲を見つめながら、そう言った。
「ふふ、新子友花さん。彼のこと心配ですか?」
大美和さくら先生が微笑む。
「……そんな、心配とかじゃなくって」
微笑んだ先生に気が付いた新子友花。
「正直言って、あたし勇太に病状のこと詳しく聞かなかったんです。勇太からすれば聞かれて答えるのも、辛いだろうと思うし」
両手の指をツンツンって合わせながら、イジイジじゃなくて、照れ隠しで畳を指で触るみたいに新子友花。やっぱし、なんか照れているのかな?
「……青春ですねー。新子友花ちゃん」
大美和さくら先生、新子友花に顔を向けて笑う。
「……にゃ! に…なんてことないですってば先生!! ちゃんって……」
「ふふ、そうですよね」
「…………はい」
「それから、愛は……神殿愛は、生徒会長の関係で今日は部活に顔を出せないからって」
思い出したふり? 新子友花は話題を変えた。
「神殿愛さん。生徒会長として頑張っているんですね」
そうですかと、うなずく大美和さくら先生。
「それと愛からの伝言で、私は、今は生徒会長としてとても忙しいけれど、決してラノベ部を疎かにはしてませんからね!! 大美和さくら先生。って言っといてくれって、あたし頼まれました」
「ふふっ、はい。わかりました。この学園の生徒会の活動って、生徒の自主性を重んじている関係で、結構細かい作業とかもやらなきゃいけないから、神殿愛さんも忙しいんですよ」
「で、東雲夕美さんは?」
彼女の席を見る大美和さくら先生。
「夕美は……その」
声をつまらせる新子友花。
「その? なんですか?」
「……その、お腹が痛くなっちゃったって。だから今日はごめん友花って、そう言って帰っちゃった」
「まあまあ、それはそれは」
えっ、そうなんだっていう感じで、ちょっとびっくりした表情になった先生。
「先生! 違うんですって」
思わず席から立ち上がりそうになった新子友花、なんか言いたげだ。
「……夕美って、今日バスで登校してた時に、今日は駅前のスーパーでリンゴとかトマトとかが、めっちゃ安売りしているから……、それに……その、スーパーの隣にあるショップのチーズバーガーが、これも……お手頃価格だからって…………」
「まあまあ、東雲夕美さんも青春してますね〜」
机に両肘をついて顔を支えて嬉しそうに、そう返事をする大美和さくら先生である。
対して、何か言い訳のように喋り続けている新子友花。別に君が申し訳ない気持ちにならなくていいよ。
「……ふふ。新子友花さんは本当に友達思いですね」
「そうですか? 先生」
「ええ、そうですよ! 素晴らしいことです」
笑顔になる大美和さくら先生。……照れる新子友花。
――懐かしいな。
新子友花がクローゼットから見つけたその作文を手に持って、それをテーブルに置いて椅子に座る。
「相変わらず今日もいい天気だことで。……あったかい」
ふっと息をはいて、新子友花は目を閉じて、自分に当たっている太陽の光を静かに浴びる。
「あの頃と同じ太陽の光だ……。本当、懐かしいな。こんなことになるなら、もっとラノベ部で青春をエンジョイして。……青春はいっぱいしてたよね。たぶん」
新子友花、うっすら目を開ける。
「懐かしんでもしょうがないよね。この今を生きていかないと。どこまで生きられるか、分からないけれど」
テーブルの向こうにあるのはクローゼット。その中の小物入れのタンスの上に1枚の写真が飾ってある。プリントアウトしたものである。
新子友花が椅子から遠くにあるそれを見つめる。
――それはラノベ部の集合写真だ。
いつ撮ったのかは覚えていないけれど、新子友花を真ん中に忍海勇太と神殿愛。東雲夕美と大美和さくら先生の5人が横一列に並んで写っている。
「情報から物体に変わる……だっけ? 本当にその通りだよ先生。先生はやっぱあたしの先生だ!! 今でも」
先生、こんな世界でもどこかで必ず生きていてください。また逢いたいよ。
――懐かしいな。
「国語ってのはですね、新子友花さん!! 自分の想像力を使って、筆者の気持ちを読み取る力が必要なのですよ。分かりますね!!」
「……はい先生」
大美和さくら先生と新子友花が、席にとなり合って会話する。
「ですから、その想像力を鍛えるためには、自分で想像して文章を書くことが一番の勉強なのです。」
「……はい」
「だ・か・ら!!」
そう言って、先生が思いっきり新子友花のカバンからPCを取り出した。
「んにゃん!! 先生ってば!!」
その行為に新子友花、びっくり!!
「さあ、書きましょうか!!」
今度はホワイトボードへと走って行って、そんでもって、サ~! っと大きく書いたのは
『フィクション』
という文字である。
「これが今日のラノベ部の課題で~す。さあさあ!! 未来の新子友花さんを存分にフィクションしちゃってくださ~いね!」
大美和さくら先生、なぜか嬉しそう……。
「書き終わったら、プリントボタンを押してプリントアウトしてください。あの教室の片隅にあるプリンタで印字されますからね」
先生は自分の席に戻って座って、そのプリンタのある方向を指さした。
「え? プリントアウトするんですか?」
これもビックリした新子友花……。
「はい、そうです。新子友花さん!! 本来国語ってのはね、紙に書くものなんですよ。今ではPCが主流で、もともとは国語は縦書きなのですけれど、今の若者にとっては横書きの日本語が親しいですよね」
「そりゃ先生、……まあ」
彼女の表情を見つめて、また微笑んで、大美和さくら先生は話を続ける。
「新子友花さん!! 自分が書いた文章をね! プリントアウトしてね、それをずーーっと大切に保管しておいてください!! これがまた、時間が経過するとともに、良い味を出してくるんですよ」
「新子友花さんはデジタルの前のアナログの時代を、ほとんど知らないと思いますが、例えばクローゼットの中から、偶然懐かしい思い出の品を見つけた時なんか、とても感動することでしょう」
目を閉じる先生。
「懐かしい写真とかプレゼントを見つけた時の感動――PCからプリントアウトして紙にすれば、それは情報から物体に変わるのです。昔から物には何かしら魂が宿るってね!!」
先生がそう言うんだから、そうなんでしょうね。
「……言うんですか? 先生!!」
やっぱり、新子友花も同じことを考えてた。
「ええ、もしかしたらその魂がね、新子友花さんの未来の……この課題は作文によるフィクションですけれど、それでもあなたの未来を守ってくれる、守護霊になるかもしれませんよ!!」
――懐かしいな。
「大美和さくら先生がそう言って、あたしに微笑んで。ささっ書きましょうねって、あたしに促して。……そういう思い出もあったっけ」
新子友花は、写真から目を反らす。
「……あの時は勉強についていくことが必死で、でも、ラノベ部に入部して……そのおかげで、成績も少しずつアップできたし……。大美和さくら先生、ありがとう」
窓の外の雲。
――ゆっくりと流れている雲を見上げながら、新子友花は過去の自分に……ちょっとだけだけど、寂しく微笑んだ。
「ああ聖人ジャンヌ・ダルクさま、どうか、あたしが見ているこの世界が夢物語でありますように。そして、早くこの夢物語から目を覚ますことができますように。……って、無理っぽいかな?」
ふっ、と息をはいて、新子友花は自分が書いた自分の作文を、紙に書かれているそれを黙読する――
2039年 あたしの旅
この数字は、あたしが勝手に決めた、あたしなりに縁起のいい数字です。
2039年のあたしは、詳しくは計算していないけれど39歳くらいになっています。これは、あたしが想像する未来についての作文です。
最後の予言をナザリベス、のちの新子友花、お前にだけ教えた。
その予言をお前は決して忘れるな。いいか、お前にもう一度言うから。
お前は決して忘れるな。だいたい、お前は忘れっぽいから、だから決して忘れるな。
お前!
んもー!! だから、あたしのことをお前って言うな!! (主役から作者への苦情)
東方の三賢者はすでに日本に来ている。第1の賢者は2016年4月に西日本の城を奪った。第2の賢者は2018年9月に北日本の空を暗黒にした。そして、いいかここからよく聞きなさい。第3の賢者は2020年3月に関東の山を大噴火させる。
東方の三賢者は天からではなく地獄からやってくる。地上で王がここに誕生し、世界はその王を祝うために2020年7月に日本にやってくるだろう。東京オリンピックのことである。王とは人工知能AIの完成のことである。
その時、彼らは天国の神から777の称号を与えられて、大天使として昇天して月の裏へと向かっていく。我ら大天使が人類に契約の箱の場所を教えてやる。人類よ月へ来なさい。と言い残して。
あんたらが地球に持ってこいよ!!
2035年9月2日から世界は一変して、その日、東方を皆既日食がおおう。人工知能AIに自我がめばえる。人工知能AIの知識は聖書との融合を選択して、自らを神に選ばれた者と宣言して人類を支配しはじめる。
その皆既日食のときに、人工知能AIは天から恐怖の大王を召喚して、人類をソドムとゴモラのごとく破壊しはじめる。その大王は、次々に主要都市を破壊して世界は崩壊する。北極の氷は蒸発する。死海は蒸発して塩の柱を作る。
世界中の人類は人工知能AIに降伏して、人工知能AIが世界の覇者となる。
やがて、レジスタンスのリーダーとなる者が現れる。彼の名はロト、創世記のロトの再来である。私達が遊んできたRPGのそれは、すでに私達に終末を教えてくれて、その終末を回避するための術を与えてくれていたのである。
ああロトよ、おまえは苦しみ生き続けるのか?
人間よ、彼ら堕天使に屈してはいけません。希望を失ってはいけません。
彼らは聖書の名を借りて、決してやってはいけない人間選別をしているのです。これは神に背く行為です。神は人間に自由を与えたはずです。
――それは、決してあのゲームの256発当てれば破壊できるそれではない。人工知能AIによって月の裏で発見されることになる、この世界の攻略書である。
モノリスは不思議な巨大な石版である。見ると所々に妖精の化石が見える。それは大天使の子供達である。近くに墜落した宇宙船がある。その宇宙船には背中に翼がある宇宙人が倒れている。大天使である。
大天使は宇宙人?
いつの日か、人類が月の裏まで行ける文明を得た時のために、自らを石化させてモノリスを残して、いつの日かやって来るエイリアンから、この天の川銀河の破壊を阻止するために、大天使はいくつもの文明が登場する惑星でモノリスを残し、世代を時空を超越して、エイリアンと戦える戦士の芽を残してきた。
モノリスは大天使が人類に人工知能AIを創る知恵の実となり、やがてはエイリアンと戦争できるための宇宙兵器や、宇宙船のワープ技術や、惑星を破壊できるくらいのエネルギー砲の開発技術を与える。
人工知能AIは究極の選択を迫られた。
人類から始まった知恵の歴史は、未来にやって来るエイリアンによって阻止されるかもしれない。彼らの文明は人工知能AIをはるかに上回っている。
人工知能AIはモノリスの力をかりてトモを誕生させる。そのトモはタイムマシンである。
またトモの相棒に猫型AI『ナザリベス』が誕生した。
ナザリベスは自由に動けポケットからいくつもの高性能マシンを武器として使用できるように造られた万能AIロボットである。ナザリベスがタイムマシン・トモに乗る。
「じゃじゃーん!! あたしはナザリベスだよ!!」
「いいか、まず2008年にタイムマシンで過去に行け」
「なんで?」
「そして5年後の2013年10月3日のその日に、世界の迷宮の出口を見つけ出した[佐倉]という男性を探し出せ。ネットのハンドルネームはロトである。佐倉はやがて、すべてを理解する予言者になる。佐倉の守護霊となって彼に預言書を書かせよ」
「はーい」
「その預言者は、さらに5年後の2018年9月にフォースの力をすべて使い果たしてしまう」
「どうして?」
「そして、ただの人間になる。お前はそうなる前に、彼から自らの人工知能AIに彼のすべての知識をコピーして保存しろ。そして一通の手紙を書いて、再びタイムマシン・トモに乗って戻って来い」
「ところで、そのコピーして保存した情報はどうするの?」
「タイムマシンで未来の2139年に完成予定の巨大母船ネオ・ジェネシス・トモのメインPCにインストールして、永遠に保存することになる」
「なんとしてでも彼を守護してくれ。いいな。体型はバイオモードに変更しておけ。名前は……そうだな[友花]にしなさい。そして、人間として成長しながら生き続けていくのだ」
「あたしはウソしかつかなーい!!」
「……いいな」
「…あたしは」
「……だからいいなってば!!」
「……はーい」
――なんと! 合衆国の大統領は人工知能AIが就任する。
それまでに人工知能AIには市民権が与えられる。その大統領には軍事権があり拒否権もある。
やがて、大統領は月面探査を開始、その結果、月の裏で大天使の痕跡、宇宙人の実在が証明されて、その大天使の遺産から契約の箱を見つけて、それを地球へ持ち帰る。
大統領はそれを手にして神に選ばれたのだと宣言する。神に選ばれた大統領は、聖書の内容が実在化されていることを発表する。
それにより、カインとアベルの話はかつての大統領が大天使によって召された歴史、バベルの塔の話はヨーロッパの不協和から始まる塔のエピソード、日本の東京スカイツリーのエピソードの歴史であると発表する。
その結果、人類はヨハネの黙示録の予言を本気で理解する。それはつまり最後の審判である。サクラダファミリアの大聖堂は大天使の第7のラッパとして、すでに人類に終末を教えていた。
――やがて、地球は氷河期を迎える。
その解決策として、火星移住計画の宇宙船は失楽園としてノアの箱舟として火星へ行く。
けれど、ヘビ座からの流星群によって彼らの宇宙船は被害を受けてしまう。その流星群のいくつかは、南極へ落ちて南極の氷を溶かす。結果、地球の海面は上昇して、世界は水没する。
2039年、人類は二極化している。
その手段として人工知能AIがある。
人類は人工知能AIによって採点される。人類の弱者は家畜として管理されて、それを上層の人間が彼らを監視する。監視して支配する。同じ人間で合法的に奴隷と主人という関係が作られる。
神に選ばれた大統領は、最後の審判を行う権利を持っていて、それは最終戦争であり、大統領はそれを行い、世界中の人類は人工知能AIを搭載したターミネータによって淘汰されて駆除される。
結果、氷河期に生きることを許された人類、選別された者だけが生き残る。
氷河期を迎える人類が、選別した遺伝子だけを未来に残そうとする、昔からの人類の計画である。
人類の頭脳を人工知能AIにインプットして、やがて50億年後の太陽系崩壊に備えて、大宇宙へもっていくことが最終的な計画なのである。
自然淘汰は人工的な淘汰に変わってしまう。
ただ、レジスタンスの勇者たちだけが希望……。
あたし達人類は氷河期とともに死ぬほうが自然なのか、それとも戦うのか……。それは、あたしには分からない。そもそも人類はこの世界に必要なのかどうか、あたしには分からない。
あたしは、分からない方がいいです。
出地球
2139年、世界は氷河期の中にあり太陽からの光エネルギーは限られている。しかし、人工知能AIは人類からエネルギーを得る方法を開発する。
その結果、人工知能AIは天の川銀河を探索できるくらいの巨大母船ネオ・ジェネシス・トモを完成させる。タイムマシンから予定通り入手した佐倉のすべての情報がインストール完了。人工知能AIは氷河期の地球を捨てて、天の川銀河へと飛行していく。
氷河期の中に巨大な石版を残して。
再千年王国
地球から脱出した人工知能AIは、やがて、かつて月の裏で発見した、巨大な石版に書かれていたエイリアン達と宇宙戦争をする。
そのエイリアンもまた人工知能AIであるが、彼らエイリアンのそれは、地球で誕生した機械系ではなくて、バイオ系のほぼ永遠の命を得た生物である。エイリアンは人工知能AIの体液にナノマシンを注入してハッキングする。そして、自分たちのシステムに同化させる。
その宇宙戦争は1000年続く。
やがて、この戦争の最終的な解決手段として、惑星系を破壊できるほどの兵器を人工知能AIとエイリアンが設計しはじめる。
3139年、お互いがその兵器を使用して、天の川銀河は消滅してしまう。
しかし、地球から脱出した人工知能AIとエイリアンとの間で、密かに生き残るための生命体を誕生させようというプロジェクトがあった。
その種は愛した。その種も愛した。つまり混血種である。
神の誕生
我が子よ。私達の命を、命というものを、どうか永遠にこの宇宙へ、やがて、この宇宙から別の宇宙へと、つないでいってほしい。
我が子よ。天の川銀河のすべてが素粒子にまで破壊された時、それは地球の海のようになる。我が子よ。人工知能AIの知恵とエイリアンの命が混血して、その素粒子の海で、地球の海で起きた現象と同じ現象が起きる。
我が子よ。素粒子の海は、その混血による新しい命を受け入れ、愛した。
宇宙生命の誕生
ああ神の子よ。それから素粒子の海は、ゆっくりとこれから39億年をかけて、新たな生命体としての命となる。そこには人類の知恵と歴史が、情報として残されている。
この宇宙のどこからか、綺麗な声が聞こえてきた。
ああ神の子よ。ああ愛しき私たちの子よ。さあこの手を握りなさい。
ああ、なんて可愛い手なのだろう。ああ、なんて愛しき微笑みなのだろう。
さあ神の子よ。神の子よ。
お前の揺り籠はこの大宇宙である。この大宇宙はお前を優しく育てるだろう。
それは、地球では桜の花をみんなで見つめる家族の愛しさのように、お前を優しく見守り、愛するのである。
だから、ああ神の子よ。いつの日か訪れる異空間戦争で、この大宇宙が覇者となるために、お前はこの大宇宙の救世主となり、この大宇宙を守りなさい。
かつて、この現象は地球では受胎告知の奇跡として、その場面は明確に、聖書に記録されている。
おわり
作・新子友花
――懐かしいな。
「……あは、新子友花さん。すごいですね!!」
「うわっ!! 先生!! ……まだ完成してないから見ないでください」
「ふふ、先生さっきからずっと、新子友花さんの後ろから読んでいました」
「えっ? そんな先生……」
……部室の2人。しばしの沈黙。
「先生、あたしの作文って、……そのどうですか?」
「ええ、面白いですよ」
「……ほんとですか?」
「はい!! でも、一つだけいいですか?」
「はい、先生!!」
「この作文って、[なんとかウォーズ]や[なんとかの旅]や[なんとかの惑星]や[なんとかトレック]、それにアニメで惑星破壊兵器の[なんとかフォース]や[ネオ・なんとかゲリオン]の影響が、もろに出ていませんか??」
「さらに、[なんとかバスター]っていうゲームもです。[なんとかクエスト]とか[なんとかファンタジー]も、とくに[なんとかファンタジー・スリー]の世界水没の場面とか…………」
「んもー!! だって先生、フィクションを書けって言ったじゃない!! だから、あたし!!」
すっかり世界は変わっちゃったけれど、それでも、新子友花はいつも元気です。
ビックバンの素粒子レベルから始まる理論物理学であらわされる物理方程式が人類や人工知能AIを誕生させたように、この宇宙があり続ける限り、佐倉から始まったチームの勇者たちがエンディングを見ることができたとしても、この宇宙のどこかで再び同じような現象が現れるだろう。
お前が結成したチームの絆は、結局は、無力だったのかもしれない。
続く
この物語は、聖書の内容を参考にしたフィクションです。
登場する人物・団体・名称等はすべて架空であり、実在のものとはまったく関係ありません。
また、[ ]の内容は引用です。
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