一人と一匹

 知らない町並みを僕は歩く

 横には一匹の猫

 こいつは何なのだろう

 とにかくずっと僕についてくる

 僕は歩く

 帰る場所など何処にも無い

 こいつも同じなのだろうか?

 いくつ町を通り過ぎたのだろう

 僕は古びた駅に着く

 疲れた

 僕は駅にあるベンチに座る

 雪が降ってきた

 寒い

 此処は終着駅なのかもしれないな

 あの猫はまだついてきている

 お前は僕の相棒なのか?

 ベンチの下に潜り、丸くなった

 ここはこたつじゃないぞ

 そんなことを思い、クスクス笑っていると

 ベンチの下から出てきて膝に飛び乗ってきた

 僕にとって、こいつが初めてできた友達かもしれない

 ぬくもりが伝わってくる

 温かくて、ぬるくて、冷たい

 さっきよりも寒くなってきた

 寒くて、冷たくて、霞んで、真っ暗になった

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