ごめんな、ありがとう

 幼いころから、嫌なことは胸の奥底にしまい込んで忘れるようにしていた

 そうすることで、苦しさ辛さから逃げていたんだと思う

 大きくなってから僕は恋をした

 彼女のためならなんだってできる

 傷つくことなんて慣れっこだ

 だって傷ついたらまた胸の奥底にしまい込んで、忘れてしまえばいい

 その時の僕は、こんなことになるなんて思っていなかったんだよ

 僕は彼女から拒絶された

 気持ち悪いと

 辛かった、辛いはずなんだ、失恋をしたんだぞ

 頭でこんなのは辛いとわかっていても、辛いという感情が湧いてこない

 負の感情が希薄していた

 数年たって、僕はやりたいことを見つけた

 最初はすごく楽しくて、幸せだった

「お前がこんなことしたって意味がないんだよ

 お前を認めてくれる奴なんていやしないんだぞ

 また気持ち悪いって言われたいのか?」

 そんな声がいきなり、胸の奥底から聞こえてきた

 その日から何もうまくいかなくなった

 限界だったんだ、そりゃあそうだ

 心に鍵をかけて今までお前に負の感情を押しつけてたんだ

 今までありがとう、やっと気づいたよ

 お前にばっか辛い思いをさせて、ごめんな

 これからは、楽しいことがあったら一緒に目一杯楽しもう

 だから辛くてどうしようもなくなったら、僕を支えてください

 決してお前だけに押し付けたりはしないから

 遅くなったけど、お前と一緒に楽しい人生を歩んでいきたいな

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