壁の向こう側
宵闇(ヨイヤミ)
第1話
ある日その人は言った。
『これでいい、このくらいでいいと、そんな甘い考えをしている時点で、人は上にいくことは出来ない。これは出来る、これなら頑張れると、そういうものを見つけて、色々やっていれば、自然と成長していく』
その言葉を聞いて『あぁ、なるほど』と思った。
確かに自分で限界を決めては、更に上を見ることは出来ない。それどころか、そこに留まるか沈む事しか出来ない。当然周りには置いていかれてしまうだろう。
『それでいいじゃないか』
『それの何が不満だ』
そんなことを皆からは言われるかもしれない。
だが、逆に何故それで満足出来る?
確かに面倒臭いことは嫌いだ。
やりたくもない事を頑張るのも嫌だし、興味のないことをするのだって嫌いだ。
しかしその“嫌い”が何故そうなのか、それを知っているのだろうか?
『嫌い』『面倒臭い』『やりたくない』
『限界だ』『もう無理』『これ以上は…』
そうやって壁を作る。
それに何の意味があるというのだろうか。
そんなの、意味があるわけでも、その人自身が何得をするわけでも、なんでもないだろう。
自分の知っている事、実際に見たもの、自分自身でやったこと、そんなことを人は信じる。
人によってはそれが全てなのだと、そう考えてしまう人もいるかもしれない。
自分自身で造りあげたその壁を越えれば、もしかしたらさらに面白い、楽しい事が待っているかもしれない。なのにも関わらず、人はそれを越えようとはしないのだ。
私は越えたいよ。
例えその先に不幸があったとしても、壁を登ろうとして落ちたとしても、諦める気はない。
私は今、高校3年生だ。
今年が最後なのだ。
今年が、最後のチャンスなんだよ。
それを諦めてたまるか。
どれだけ上位の作品のレベルが高かろうが、それは目の前の壁が高いと感じるだけなのかもしれない。
だが、よく言うではないか。
《壁は高いほど越えがいがある》
この最後のラストチャンスを、私は諦めない。
確かに私には語彙力も、文章力も、何も無い。
でも、例えそうだとしても、それは諦める、諦めていい理由なんかにはなり得ない。
そんな理由にしていい訳がない。
確かにこれは私の腕試しだ。
だからといって、手を抜く気は無い。
そんなことをしたくない。
やるなら妥協せず、全力で、自分の書きたいもの、伝えたい事を書くんだ。
自分たちの見てきたものが全てじゃない。
外側にも世界はあるんだよ。
途中で諦めたり、限界を作るな。
壁の向こう側を、覗け。
壁の向こう側 宵闇(ヨイヤミ) @zero1121
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