風の戦禍

風のようなひとだった

真っすぐに未来を見据えて

それ以外は何も見えない

身体は悲鳴を上げているはずなのに

地面に立つその姿は何物にも汚すことのできない

静謐な植物のよう


熱い魂も

静かな情熱も

暖かい情愛も

貴方を包むことは出来ない

ただひたすらに願いを叶える風を待って

貴方は優しく笑う


積年の想いは叶ったのか

聞くことはできない

ただ最後はきっと笑っていたのだろうと

心の傷がそう告げる

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