第7話
「俺は、昔からずっと、あなたが好きです。でも、記憶がないらしいので、無理にとは言いません」
「私は」
私は誰。私はしにたい。私はみんなといる。私は。
私は。
「あっ」
結婚式で流れるような音楽が、車のほうから流れ出す。
「あ、いや、ごめんなさいタイミングが早かった」
「音声さんっ」
「お前っ、今じゃねえだろうがっ」
「いいえ」
この音。
聴いたことがある。
「もう記憶は、戻らない。わたしが、今、いなくなっても」
この曲。私の好きな。
「私の好きな曲。結婚式用に、アレンジされてる」
「え、ええ。まあ。タイミング早かったかなやっぱり」
「いいえ。音声さん。このタイミングで合ってます。私は。あなたが好きです。私が、いま、しぬとしても。それでも」
それでも。
「あなたが、好きです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます