私が我が子を育てる理由

この寝顔を眺めてふと思う。

どうしてこの子は生まれてきたんだろう。

どうしてこの子は母親を求めるのだろう。

どうして私はこの子の世話をするのだろう。


一人前にして世に出すため?

老後の自分のため?

やってみたいから?


どれも違う。


ただ、見たいから。


日に日に新しいことを覚えて人間らしくなる息子。


覚えてやったことから、彼の頭の中を推測する。


これを見てたんだ。

真似したいって思ったんだ。

意味は繋がってるのかな?

何に興味があるのかな?

誰の真似でもするのかな?


知りたい。

自分から生まれ出た子が、何を考えているか。

何を思っているか。

何を学習するのか。

何を好きになるのか。

どんなふうになっていくのか。

知りたい。


体も心も、顔も髪型も、成長とその過程を見たい。

観察したい。

研究みたいなものかな。


そのためなら最低限のお世話はする。

変なストレスを与えて、伸びしろを縮めたくない。


これが今のところの、我が子を育てる理由。


同じ理由で、次の子も見てみたい。


同じ親から違う子が生まれる不思議。

性格も顔も違う。

見てみたい。知りたい。


これは探究心なのか。


「愛情の反対は嫌悪ではなく、無関心」

とはよく言ったものだ。


関心しかないよ。

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