幸せが更新されていく

結婚が決まったとき、幸せだと思った。


プロポーズなんてなくて、入籍したほうが得策だという協議の結果だったけれども、駅へ行く道すがら、ふと『あぁ幸せだなぁ』と思った。


私の身に何かあったとき、家族じゃなくて、夫が身の回りの世話をするんだってことが、なんかすごいことのように思った。


初めて子供同士、友達だけで泊まりに行くような、親元から離れて大人になった感覚。


試験に1発合格し、希望の職場への就職も決まり、『ラッキーだなぁ』と思った。


今まで学生のときは、試験や就活って失敗ばかりだったから、こんなトントンに行っていいのか不安になった。


結婚式の日取りが決まって、呼びたい人呼んで、手作りのこだわりムービーをみんなに見てもらって、好きな音楽流して、セルフプロデュースして、大成功して、『こんなに幸せなことない』と思った。


こんな幸せで、順風満帆で、怖いとさえ思った。


幸せの絶頂とはこのことか。


それならあとは下っていくんじゃないか?


ちょっと構えながら失脚しないように、構えて日々を過ごしていた。


そしたら妊娠した。


自然に任せて、特に妊活はしてなかったので、正直なところ、戸惑った。


入社して1年も経ってないのに、もう休むなんて。


仕事も中途半端だし、信頼問題なんじゃないか。


担任を持っていたので、はじめての学生を卒業まで見送るつもりだったのに、産休に入るなんて。


どうしよう。と思った。


そしてわりとすぐ、上司に相談したら、『おめでとう!』って喜んでくれた。


職場も受け持ちの学生も、喜んで受け入れてくれて、その上で寂しがってくれたりなんかして、また『私は本当に幸せ者だなぁ』と思った。


人生でこんなに成功してる感覚って今までなくて、『こんな幸せもらっていいのかなぁ』って、明日死んでも後悔しないだろうなって思った。


そして無事に息子が産まれて、日に日に可愛くなる。


何をしても可愛い。


よく【寝顔は天使】なんて言うけど、泣き顔だっておもしろくて可愛い。

なにより1番天使顔は、笑顔!

声を上げて笑ってくれると幸せな気持ちになる。


息子と一緒にいて、特に腕の中にいるときなんて、『世界で一番幸せなんじゃないか』と思った。


他の人に申し訳ないと思うくらい、『幸せ』のシャワーを浴びてる。


この安らぎと幸せ感を、知らない人がいるなんてって、お節介ばばあみたいなことを思ってしまう。


幸せの絶頂なんてなかった。


どんどん更新されていく。


なんなら、種類が違う。


幸せだと感じる心の場所が違う。


感じ方が違う。


美味しいもの食べて幸せ。


あたたかくて幸せ。


30代から順調になるって、バリアンに言われたけど、本当に幸せを連呼してる。


ありがとう。


いろんなことを諦めないでよかった。


全ての決断が今に繋がってる。


息子にも体感して欲しい。


幸せだと思って欲しい。


愛されてるって身に染みてわかるくらい愛するからね。


来月から保育園と復職。


心あたたかいまま、頑張るぞ。

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