宇多田ヒカル

夫の帰りが遅く、息子があまり寝てくれない時。

何時間も抱っこして、それでも合間に夕飯作って。

遡れば、朝から弁当作って、洗濯2回して。

泣き声攻撃を何時間も受け続け。


やっと帰ってきたので、バトンタッチ...

腹ぺこだったので、夫に息子を抱っこさせて夕飯に食らいつく。


グズり続ける息子。

夫が夕飯食べるために息子を抱っこ。


たいしたことない素人みたいな人のYouTubeを見ながら(偏見)、何も言わずにのんびり自分のペースで食べる夫。


泣き止まない息子。

きっと私のイライラや疲れが伝わってるんだろう。


そしたら急に私に限界が来た。


何もかも投げ出したくなり、危険を感じた。


とりあえず『もう無理!』と息子を夫に渡し、自分の部屋へ。

イヤホンを耳に入れ、洗い物。


選んだ曲は宇多田ヒカル。


シングルベストのアルバムを流してたけど、そのどれもが響いて泣ける。

耳に入るフレーズにまた励まされる。


ヘッドホンをして人混みの中に隠れると、もう自分が消えてしまったんじゃないかと思うの


誰かのためじゃなく、自分のためにだけ優しくなれたらいいのに


誰かの願いが叶うころ、あの子が泣いてるよ

私の涙が乾くころ、あの子が泣いてるよ

小さな地球が回るほど、優しさが身につくよ

もう一度あなたを抱きしめたい、できるだけそっと


なかでもTime will tell は最高に身に沁みた。

全部の歌詞が刺さる。優しい。


この詞を20歳にもならない女の子が書いて、あんなに切なく歌うなんて。

私は何をしてるんだ。


そう思った。

前を向けた。


調べたら、この曲出した時は15歳⁉︎

すごいなぁ。かっこいい。

どうしたらこんな切ない感じになるんだろう。

どんな経験してきたんだろう。

この人は大丈夫なんだろうか。

つらくないだろうか。

つらいときどうしてたんだろうか。

救われてたんだろうか。


息子もいつかこんな切ない気持ちになるときが来るんだなぁ。


振り返ると夫が遊んであやしてる。

そのままスピーカーに変えて風呂に入る。


だいぶ癒され、前向きな気持ちになれた。


そして『よしっ、もうちょい頑張ろう』と思っていたころ、そっと風呂のドアが開いた。


息子を抱いた夫が立っていて、『ほら、母ちゃんおるやん』って。

『喋って』と言われたので、名前を呼んだら、泣き顔の息子がニコッと嬉しそうに笑う。

『満足した?』と言って、2人は部屋に戻っていった。


私は無断でイヤホン付けて、シャットアウトして、勝手に風呂に入って、夫に怒られると思った。


それが、こんな反応。


ありがたい。


ありがとう、宇多田ヒカルさん。


まだまだ頑張れます。

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