空気の読める0歳児

人が来るとニコニコ。


気をつかう、空気の読めるA型長男です。


ちゃんと話がしたい人が来ると、ほぼ寝てる。

話が終わって惰性になってきたころ、起きる。


一緒に食事など、長居したい人が来ると、最初の方はやっぱり寝てる。

後半起きて抱っこされても大人しくして、じっと顔を見つめてる。


そんな新生児時代を過ごし、『ニコニコ』という武器を手に入れた息子は、見事なタイミングで使いこなします。


初対面で話しかけられるとニコニコでお返し。

ずっとニコニコで見てる。

声を出してニコニコという最高のコラボを繰り出してくる。


今日加入の話に来た共済のおばちゃんにも、ずっとニコニコ。

おばちゃん思わず笑う。何度もウケてる。

思わず人を笑顔にする息子、すごい。

赤ちゃん全般なんだろうけど、やっぱり息子はわりと男前な可愛い顔だと思う。


サインなどしてる間も、おばちゃんに大人しく抱っこされる。

そしてちょっとグズったけど、すぐに寝る。


私も経験があるが、赤ちゃんの抱っこを請け負って、泣かれたらちょっとバツが悪い。汚い心がバレたのかなって気まずくなる。きっとその親もそうだと思う。


泣かなかったら、機嫌がよかったら、認めてもらったみたいで嬉しい。

寝るなんてなおのこと。安心されたって嬉しさの極みだと思う。


それをやってのける息子よ。すごいぜ。やるなぁ。


それで調子に乗った義母さんが、自慢げになってどんどん勢力を増してくる。

だから、帰ったあと、話しかける。


『何をして欲しいか、人の気持ちを考えて、それをしてあげる。それはすごくいいこと。あなたが今やってることは素晴らしいことだよ。

 将来的にもみんながあなたによくしてくれる。きっと女の子にも男にも人にモテるよ。仕事でもスーパーになれるし、これからも常に人が喜ぶことは何か考え続けなさい。

 でもね、考えるだけで、それをやるかどうかはあなたが自分で決めなさいね。人が喜んでも、自分の心が嫌なことはしなくていいから。自分も人も気持ちよくなれるように考えていくといいよ。』


それを熱く言い聞かせてたら、妹が来て、嬉々として抱っこする。


今までみんなにニコニコだったのに、手で妹の体を押さえ、嫌がり泣く息子。目も合わせない。


順応早っ!良い子!


妹もめげずに言う。


『あれあれ〜?どうしたのかなぁ〜?その服は誰に買ってもらったのかなぁ〜?』


息子に関する全部の服の出資者は、妹である。


たかった...いえ、妹からのプレゼント。


うん、せめて大人しく抱かれてな。

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