『小さなお話』 その135

やましん(テンパー)

『地獄祭』


幸子さん


 『はい、やましんさん、これ、あげます。招待券です。』



やましん


 『ご招待券。なになに、【開園3,000年記念地獄祭】。なんだそりゃ。』



幸子さん


 『いや、だから、女王様の今の地獄が正式に開園して3,000年だからね。その記念のお祭りのご招待ですよ。二泊三日の豪華プランです。』



やましん


 『毎年やっている、見学会と違うのかい?』


幸子さん


 『そりゃあもう。規模が違います。地獄挙げてのお祭りで、亡者たちの責め苦も、三日間停止されます。そのかわり、さまざまな模擬店や、イベントのボランティアですよ。鬼たちもいっしょにやりますから、亡者と鬼の親睦を図る事にもなると、女王様はおっしゃいます。』



やましん


 『まあ、弘子さんは、新しい地獄の在り方を目指していたもんね。』



幸子さん


 『そうそう。他の地獄からも、来ますよ。ももさんも、来る。』



やましん


 『競争相手だろ?いや、犬猿の仲だよね。』



幸子さん


 『お祭りでも、はでに、喧嘩しようと言ってます。初公開の、グレートお饅頭嵐を披露します。』



 やましん


 『公開ですか。』



 幸子さん


 『はい。それに、ティラノの乗り放題とか、絶滅した、巨大はだかでばねずみとのお遊び会とか、メガロドンへの、エサやりとか。ルイ王朝の豪華ディナーとか。卑弥呼さんのお食事再現とか、他では絶対に体験できないイベントがいっぱいです。ぜひどうぞ。大好きな、『地獄やきそば』の食べ放題もありますよ。地獄の火炎で焼きますから、豪華ですよ。あの、名高い『巨大赤ちゃん』とのゲーム大会もあります。火炎車も乗り放題。地獄バスもフリー・パス。多くの肉食恐竜とのかけっこ大会も。地獄の釜温泉もあります。すぐそばで、火山が大噴火!』


 

 やましん


 『いや、ぼく、いま、うつ気味が強いから、やめとく。』


 

 幸子さん


 『だから、リフレーっしゅ! ですよ。女王さまの、音楽レッスンもあります。』



 やましん


 『ぶ。あれは、こあい。絶対ヤダ。殺される。』



 幸子さん


 『やましんさんの場合は、フルートだから、女王様は下手くそです。そのかわり、やさしく、伴奏してくれますよ。今回は、絶対、責めないから、って言ってました。』



 やましん


 『いい、あれはうそだから。やり始めたら、どんどん、こわくなるんだ。』


 

   *******  .。o○ 



 女王さま


 『こりゃあ、やましん。そこ、音、低い。てめぇ、わいを、なめとんかあ。ばちーん。ばちーーーん。おりゃあ、そこ、リズム違う!とててててとっとてととて。はい、やりなおし。???? ちがあ~~~~~~う! くそ、おどりゃあ、百叩きじゃあ~~~~~~~! びし~~~~ん! びし~~~~~~ん!』



 公開れっすん参加者


 『おわ~~~~~。女王様あ‼ やれやれぇ~~~~~~~~! もっと、やれ~~~~~~!!』^ 



    ********    👹



  やましん


 『だったんだから。』



  幸子さん


 『やましんさんだからですよ。他の人には、できないからね。それにね、みな、それが、楽しみだし。』



  やましん


 『やだ、ぜったいやだ。それに・・・・・』



  幸子さん


 『え?それに?』


 

  やましん


 『もし、帰りたくなくなったら、それも、困るし。』




    ***************  🌋 ♨ ♨ 🌋 ♨  🌋 



                            おしまい




    


 


 


 


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『小さなお話』 その135 やましん(テンパー) @yamashin-2

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