インスタグラマー(2020/08/19)
私には憧れのインタグラマーがいる。それは
いつもイケメンでスマートな自撮りをアップしている。
『今日は渋谷で買い物♪』
私は黒岩君が渋谷のセンター街でピースをしている投稿に『いいね』を押した。
彼のインスタのフォロワーは七万を越えている。
毎度のことながら『いいね』の数も桁違いに凄い。
私はいつも黒岩君のファンとネットのSNSでやり取りしている。
「黒岩君、今日もカッコいいね」
「うん。モデルとかやっているのかな」
黒岩君のファンは、彼がモデルだと思っている。しかし、それは違うらしい。
更にファンの多くは黒岩君の経歴を知りたがっている。
私もその一人だ。けれど、そんなものは一切見つからない。
ネットで検索しても見つからない。
同級生の証言でも見つかればいいのにと私は思っていた。
それでも見つからないのは彼の周りが黙っていてくる人ばかりなのだろう。
目撃証言でもあればいいのに。
私はそんなことを思っていた。
ある日、ネットに『黒岩悟はホログラム』という書き込みが上がった。
黒岩君のファンは猛反論し、炎上。
けれど、どういう訳か、その一週間後、それまでの投稿も全て消え、アカウントだけが残った。
私は一瞬、ホログラムなのかと思えてきた。
けれど、その数日後、初めて黒岩君の動画が投稿された。
私は緊張しながらそれを再生する。
その動画には顔を怪我した男性が写っていた。
男性は酷く悲痛な表情を浮かべてゆっくり話す。
『今まで騙していて、すいません。僕は事故で顔に大きな怪我をしました。顔を写真で修正しネットに投稿していました。さようなら』
その後、黒岩君のアカウントは消滅した。
その三日後、身元不明の自殺の報道があった。
私は騙されたというより、何とも言えない気分になった。
もしも、黒岩君のアカウントを探る人がいなかったら、彼はどうなっていただろう。
ネットから現実を知ることが本当に良いことなのだろうか。
インスタグラマー (了)
題材 インスタグラム
製作時間 32:37 文字数790
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます