引き籠るもの忍ぶ者

八乃前 陣

プロローグ 少年は籠っていたい


 月曜日がきた。

 わりと散らかっている部屋は、カーテンも閉じられている。

 ベッドの中で丸くなっているのは、登和仁弧燃流(とわに こもる)という少年だ。

 小柄な体躯に、適度に引き締まった身体。

 縦縞の質素なパジャマは、少し大きくてヨレってシワシワだ。

 サッパリとしたショートカットは、寝ぐせでなくても、ややボサボサ気味。

 しかし面立ちは、とてつもなく整っていて、中性的を超えた、小柄な美少女顔である。

 朝七時からもう十分以上も、目覚まし時計がやかましく、甲高いベルの音をかき鳴らしていた。

(あぁ、朝が来た……。どうして月曜日の朝が来るんだろう……っていうか、朝なんて来なければいいのに…っ!)

 惑星の自転に難癖をつけるような願望を、弧燃流は高校生にもなって、真剣に思っていた。

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