第29話ダンジョンは金にならんし時間がかかる

「スリーカード」


俺はそう言って持っているカードを並べる。


「残念!フルハウス!」


花音はドヤ顔で右手に持ったカードを手首で弾いて投げつけてくる。妙にきざったいその動きを見ていると腹が立ってくる。


「くっそー!負けた。」


俺は昨日から始まっているイベントなんか無視して、家でゴロゴロ遊んでいた。


「お兄ちゃん出すもんだしな」


俺は手元から1万円分のプリペイドカードを差し出した。


花音はそれを素早く奪い取ると、裏面を削りスマホで読み取りいつも花音がやっているソシャゲを開いた。


「待っててね音ちゃん、いざ!」


画面をタップして演出が始まる。


「確定演出無い…」


ためらいなくスキップボタンを押して演出を終了させる。


「もういっちょ……来た!」


花音はノリノリでスマホをタップし続けていく。


「もってるー」


その後見事、爆死した。


日本では賭博が禁止されているだろ!と思ったそこの君!

「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」と警報で書かれているので、「一時の娯楽演出に供する課金石を賭けたにとどまるときは、この限りでない」と理解できるのだ!


「そういやお兄ちゃん、ダンジョン行かなくていいの?」


「なんで?」


「なんでって、もうイベント始まっているじゃない。走らなくてもいいの?」


「いやだってめんどくさいし。」


俺は家のモニターから応援するだけだ。モンスターたちが行きたいと言ったら行かせてやるが、後ろにいる奴らの様子を見たら、当分行くことはないだろう。


「無くなったよ!」


「は!?もう無くなったのか?」


「気がついたら無くなった。でも美味しいねこのピザってやつ」


「デリバリー頼んでおくよ。」


「次は50枚でいいよ」


「知ってるか?ピザって普通は一人1枚位食べたらお腹が一杯になるんだよ」


「だってこのトカゲが1匹で70枚くらい食べたんだよ!どこに入ってるんだよ。ほんとに」


それはほんとに思う。自身の2倍近くある量を平然として食っているんだから。


「とりあえず50枚だけ頼んでおくよ。」


__メンドクサ!!もう一度いう!メンドクサ!!さっき200枚注文したとき断られていろんな店から20枚ずつ注文して10件も店に電話したんだぞ。しかも一度に10枚しか運べないとか言って、20回も‥20回も会計をしなくちゃいけなかったんだぞ。


50枚なら同時に買えるかな。


とりあえず3店舗に連絡してピザを50枚買った。



あれ?モンスターって太らいなよね?



___________________

補足:ガチャの報酬の酸素は酸素(元素)が1個入手できます。

1億や2億出たところで誤差程度の量となっております。

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