第14話 サイド領にて ⑥
はぁ~やっと終わった。
除霊の仕事はやっぱり疲れますね。
けどハーシーにどうどうと、甘えられるというご褒美があるので役得です♪
ミーチ様も4日程で帰られたし。
残念ながら枕カバー(サイド領初日の獲物)は持って帰られてしまったけど……
これからサイド伯爵家に戻って、報告が済んだら仕事は終わりです。
帰りの馬車の中でマウンテンサイドの事について、いろいろハーシーから聞きました。
あの土地はサイド伯爵領の飛地的な所で、本来なら隣領のライブラ侯爵の領地なのだけど、谷向こうにあるサイド領側の鉄鉱山と交換したそうです。
鉄鉱山はサイド伯爵領側からは行き難く、逆にマウンテンサイドはライブラ侯爵領側からは行き難い、という理由からだそうだ。
なんだかサイド伯爵家側の方が、随分と損している様に思えるのですが……
そもそも何故そんな領地区分になっていたのか不思議ですね。
ハーシーの話しによるとあの場所自体、商人の護衛をしていたある冒険者が、盗賊に襲われた時に偶然発見したものだそうです。
道も今は整備されていますが、当時は盗賊の擬装もあって、わかり難くなっていたようです。
あそこを見つけた冒険者の方は大手柄ですね!
いつか会って、いろいろお話しが聞いてみたいです。
私達はマウンテンサイドから、途中立ち寄った村や町で、重症の患者の治療をしながら、数日掛けて戻りました。
「ああ…やっと戻って来た……
なんだかんだで予定より一週間以上も、遅くなってしまったな。」
と疲れた表情で話すハーシー。
そうですね。
一番きつかったのはシーサイド島から、嵐で出れなかった事でしょうか?
帰りの船もきつかったですね。
ただでさえ船酔いしやすいのに、嵐の影響で荒れた海……
ずっと船室で寝てました。
やっと仕事が終わったので、コレでハーシーとのんびり出来ると思っていたのに、起きたら居ませんでした。
朝早くに『仕事がある!』と言って魔道車に乗って、学園街に帰ったそうです。
残念…せっかくサプライズで発表する事があったのに……
私は誰かに迎えに来てもらわないと、帰れないので、もう少しサイド領にいます。
それから二日ほどして、やっとお迎えが来ました。
何故か学園時代の部活の友人、ハインツでした。
「実家から帰る途中、此処に寄って連れて帰る様に王太子様から頼まれましたので。」
そう言えば実家が隣りの領でしたね。
個人戦力では王国最強と呼ばれているハインツが一緒なら、安心です。
ちょっと不機嫌そうなのが、気になりますけど……
不機嫌な理由が解りました。
ハインツが愛して止まない、ポーラルタオ王国にいる従姉妹が、数年ぶりに実家に遊びに来ていたのに、私の所為で早く実家を出なければならなくなったからでした。
本来の予定ではギリギリまで実家に居て、馬で早駆けして一人で王都に帰る予定だったそうです。
何かゴメンね。
お詫びに君のその剣帯の飾りに【守護】の付与をするから。
えっ?それだけじゃ駄目なのかい?
王都に帰ったら従姉妹に贈るプレゼントにも何か付与して欲しいって?
まぁ迷惑を掛けたから、良いですけど。
護衛と言えば、あの【私をクビにした護衛の方達】、今頃どうしているのでしょうか?
※1
サイド領初日の獲物、ハーシーの枕カバー。
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