第4話 勇者タツヒコの冒険 ❶

オレの名はタツヒコ。

ある日、学校から帰宅する途中で、友達二人、マサユキとヨウジと一緒に突然異世界に転移した。



最初は戸惑ったけど、この世界の人達はオレ達の様な存在に慣れているらしい。

直ぐに冒険者ギルドに連れて行ってくれて、ステータスの確認をする事を勧めてくれた。



それによるとオレ、タツヒコは魔法剣士、マサユキは魔法使い、ヨウジは斥候の適正がある事が解った。



オレ達は冒険者ギルドの稀人支援制度っていうので保護され2か月間、こっちの世界に慣れる訓練をしてからついに異世界デビューを果たした。



それからオレ達は稀人補正もあって、とんとん拍子に冒険者の階級を上げて、A級になった。



ここまで来るとけっこう怪我も多くなって来るし、ポーション代も馬鹿にならない。



今までずっと3人でやって来たけど、そろそろ回復役を雇っても良いんじゃないか?



他のパーティーと合同で仕事をした時に、怪我の治療をしてくれたお姉さんは凄く美人だった。



オレ達もあんな美人と旅してみたい。



しかし冒険者ギルドで回復役の募集をしても、来るのは男の神官ばかりでなかなかみつからなかった。



そんな時に、王都の冒険者ギルドで紹介されたのがセイマっていう神官だった。



背も高くてイケメン。

いかにも高そうな装備。

でもなんかボケッとしてて、頼りなさそうな感じだ。



オレ達への説明は全部、ギルドスタッフがして、本人は呑気にお茶を飲んでいた。



ギルドスタッフの説明じゃ『つい最近(雇っていた)パーティーが解散してしまい、次のパーティーを探している。』って事だった。



ヘェ~。

コイツたぶん金持ちのボンボンだ。

(注:王族です。)

イケメンだし一緒に行動してれば、綺麗な娘が選り取り見取り♡

もしかしたら、【聖女】を仲間にする事が出来るかもしれない♪



(余計な事を考えていて、だいぶ聞き逃している。)



「と、言う訳なのです。後は皆さんで、このお話しを受けるかどうか、話しあって下さい。宜しくお願いしますね。」



ギルドスタッフが、何かいろいろ言っていたけど、どうせ貴族だから丁重に扱えとかそういうのだろ。



だが、オレ達は容赦しない。

貰える物は貰っておくがな!



翌日、契約書にサインして(ちゃんと読んでない。)セイマとパーティーを組む事にした。



それから数日後、オレ達は元々セイマが受注していたクエストの為に、サイド伯爵領に向かう事になった。



どうやら、コイツがオレ達とパーティーを組んだ理由は、そこへ向かう為だったらしい。



歩いて向かうのかと思ったら、時間が押しているので最近出来た《魔道機関車》という、某魔法学校の話しに出て来る様な乗り物で、途中まで行くそうだ。



ギルドの馬車で駅まで送ってもらい、降りた途端、大勢の人がオレ達を見て口々に言い出した。



「あ!勇者様だ!!」


「ほんとだ!勇者様ご一行だ!」


「勇者様~♡」



アレ?オレ達いつの間に【勇者】になったんだ?

コレってやっぱ稀人補正ってやつ?



手を振っている民衆に振り返すと、凄く喜んでるし間違いない!

オレ達はついに【勇者】になったんだ!!



(注:民衆は後ろで笑顔で手を振ってくれた、セイマに喜んでいるだけです。)



《魔道機関車》の乗り心地は最高だった。

馬車と違ってほとんど揺れもなく、席は最高級の特等、まさに【勇者】のオレにふさわしい。



駅に着く度にオレ達(セイマ)を見ようと民衆が押しかけて来る。

最高の気分だぜ!!



やがて、オレ達は終着駅に到着した。

その先はまだ開通していないそうだ。

そこでも大歓迎を受け、領主から屋敷に泊まる様に誘われた。



ちょっとした歓迎会もしてくれて、娘まで紹介してくれた(セイマに)。



翌日からは領主に馬車を借りていくつかの村で怪我や病気を治して周り、数日かかって領堺にある村に辿り着いた。



村にある神殿で一泊させてもらった後、そこから徒歩で次の領に移動する事に……



そのまま馬車で送ってくれないのかというと、セイマの奴が勝手に『ここまで送って頂いただけでもありがたい事です。

私の旅は修行でもあるのですから。』と言って断ってしまった。



チッ!やっぱり男の神官は使えねーな!

目的地の次の領の冒険者ギルドに着いたら、コイツはクビにしてやっぱり【聖女】を仲間に入れよう!



【勇者】パーティーにはやっぱり【聖女】だよな♪



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