3話

       2019年-6月某日


昼過ぎに某国に到着。海外は3か国目でハワイと中国に行ったことがある程度だ。

中田の話によれば空港をでた所にあるセブンイレブンで待ち合わせという事だった。セブンは割とすぐわかり店の前には机とベンチが沢山ある。

某国の方がもう座れないくらい腰掛けていた。びっくりしたがこれが日常らしい。

しばらくするとねずみ色のハイエースが見え2人組の男達が降りてきた。

1人目は鈴木と名乗り見た目は30代半ば180㎝くらいで体格が良く顔はヒンドゥー教の神と言われているガネーシャに似ており手首まで和彫りが入っている。2人目はサングラスをかけ顎髭を生やしていてこちらは30代前半で七分まで和彫りが入っていた。結局2人目は名は名乗らず一言も喋らなかった。(以後この2人のことを不良と記す。)

私はガネーシャ鈴木に声をかけられたので木村ですと名乗り挨拶を交わした。もちろん偽名だ。すると少し離れたところからマスクをした男が中村ですと近寄ってきた。私はこいつも行くのか…と思っていると中村がもう1人来ると遠慮気味に呟いた。周りを見渡すと中村よりも離れた所からこれ以上デカいスーツケースはないんじゃないのかと思うくらいのキャリーを持った男が近寄ってくる。ONE OK ROCKボーカルのTaka似の男が中村に笑顔をみせながら合流した。男は片山と名乗り3人?っと小さな声で中村に尋ねていた。これも後からわかった事だがこの2人は知り合いだったみたいだ。

少しだけだがアウェイ感を感じていた。すると不良2人組が3人とは聞いていない。2人じゃないのか?と言い出した。もしかすると私は間違えた人間と合流したのかもしれないと思った。

がただの確認不足で何も問題なかった。

全員でハイエースに乗り込み運転はガネーシャ鈴木がすることに。

運転がめちゃくちゃ荒い…がその国自体、運転が荒かった。もう1人の顎髭サングラスは携帯を弄りながら両足をダッシュボードに乗せている。

荒い運転には慣れているのだろう。そうこうしている内に携帯を機内モードにし電源を切って欲しいと言い出した。私はそりゃそうかと思い了承した。

基本的にこういった仕事の際は自分名義の携帯は電使わせない。飛ばしの携帯は検査をされ問題無しであればどこで使っても構わないという事だった。

私に続き中村と片山も電源を落とす。もう着くのかと思っていると会員証無しでは入れないゲート付きの別荘地に入った。受付には3人のガードマンがいる警戒ぶりだ。

受付を済ませ車でゲートを潜ると立派な別荘が何軒もある。奥の方にある別荘がこれから私達が生活する場所だった。車から降り荷物を取って屋内に入ると12..3人が2階で電話をしていた。別荘は2階建、プールが付いており少し大きめのカウンターキッチン。いかにも海外のドラマで観てきた造りで部屋も全部で5部屋あった。

不良2人組はどこかに行き私たち3人は自己紹介をすることになった。不良達は別のところに住んでるみたいだ。自己紹介を終えると寝る部屋に案内された。

部屋は5人部屋で新しいメンバーの中村が同部屋に。片山は別の部屋になった。その日の夜、長髪童顔ガリガリの戸田と名乗る人物から詐欺マニュアルを渡された。戸田はここの責任者でこの中では戸田以外はほぼ短髪だ。ちなみに私はずっと丸刈りだった。

マニュアルを渡され明日からロープレをしてもらいます。そのマニュアルを読んでおけば仕事はできます。と言い去っていった。

ここから海外詐欺 lifeが始まる…

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