第26話 海中の熱

最初はただ悲しかったんだ


本当は生まれた時から自分も誰かも騙し続けてきただけで


本当に最初からただのくずだったのかもしれないって




誰もが簡単にやってのけること、なにひとつだってできなかった


どんなに努力したって肝心なとき、一番なにもできなかった



だけど、「そんなことない」って認めてくれる声があればあるほど




かなしい


っていうより、やっぱり、くやしい。


できる。できるんだ、やってやれるんだ。本当は


本当は絶対にできるんだ。


自信があるからそういえるわけじゃない。


いや、やってやりたいんだ。


勝ち負けが好きなわけじゃない。


できるなら争いたくはないけど。




あのとき認めてくれなかったあの人に


ぼくなんか出来損ないだって吐き捨てたあの人に



あんたが否定したぼくはここまでやれてんぞって




そんで、伝えたいんだ。


こんなくずだってここまではやれるから。


きっと綺麗な君なら、絶対。


もっとやれるんだって。





できるようになりたいんだ。誰より、何より



もっと


もっと



ずっと

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