真夜中の章

少女の思い出 

 ——ゆめをみているみたいだった。


 夜空いっぱいに広がる大河。

 突然巻き戻った季節に、草花はざわめいている。

 こんなに外は寒いのに。身体は小刻みに震え、吐いた息は白いのに。


「天の川……」




 本当に知らなかった?

 あの人が……夏の星空を舞台に、人間ではできないような動きをして舞っている彼が□□□□だってこと。


 本当は気づいていたんじゃないの?

 だからキャンディの味で忘れようとしたんだ。

 甘酸っぱいもので蓋をして、必死に隠そうとしたんだ。






 ——だから私は、あの人を殺した。

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