抗体検査で分母を推定
分母である感染者の合計を正しく把握する手段の一つとして、抗体検査を用いることができます。
抗体検査とは血液を採取し、特定のウィルスに対抗する物質を人体が作り出しているかを調べる手法です。前回のお題「一度感染すれば、もう大丈夫?」の「獲得免疫とは人相書き」での比喩を引き継ぐとすれば、一度
基本的には抗体を持っている人は、その特定のウィルスにかかったことがあり、持っていない人は感染したことない人とされます。
勿論例外は存在しますし、抗体検査も完璧な精度を誇っているわけではないので「基本的には」ですが。
ともあれ新型コロナウィルスの抗体検査を、人口全体を代表し得る人たちを対象に行えば、理論的には新型コロナウィルスに実際感染した人口の割合を割り出せるということです。
無症状や軽症な感染者がいたとしても、理論上は抗体検査に引っ掛かる筈です。
なので感染者の総数の調査のため、世界各地では抗体検査が行われてきました。
例えば韓国南部の
この感染している人の割合を、
当時の
ほっほぉ。27倍ですか。
私は新型コロナウィルスに対しての韓国の対策を良くは知らないのですが、こちらの論文の内容を信用するのであれば、大規模な検査体制、感染者と接触した人たちを率先して探し出すためのシステム、隔離の処置などは世界的にも注目される水準だとしています[11]。
にも関わらず結構な感染者が把握されずにいる可能性が指摘されているわけです。
それはまるで氷河の一角のよう。
一人の感染者が確認されれば、26人が検知されずにいる。
勿論検査精度が低く、多く見積もられたという可能性はあります。
別の似たような抗体に反応することもあるらしいので、その場合は確かに偽の陽性反応が出ます。
ですが仮に検査の精度に問題があったとして、これらの数字が劇的に下がるとも限りません。
なので見逃されている感染者というのは、確かに存在するのではないでしょうか。
その数は未だ分かりませんが、思った以上に感染の規模が大きいという可能性も、充分あるのではないでしょうか。
そうなると気になるのは、一体把握できていない感染者がどれくらいいるのか、ということです。
その地域の検査体制にもよるでしょうが、特に多いところではどれくらいの感染者が見逃されているのでしょうか。
ということで抗体検査を使って感染者の総数を調査した論文やプリプリントを何個か紹介していきます。
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